米国株

米国株におけるアノマリー

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1. アノマリーとは

アノマリー(market anomaly)とは、本来「異常」「例外」という意味ですが、金融市場では理論的に説明できない、または市場の効率性(効率的市場仮説)に反するようなリターンのパターンを指します。
たとえば「特定の月や曜日に株価が上がりやすい」「小型株が大型株よりパフォーマンスが良い」など、過去のデータから統計的に観測される“傾向”ですが、必ずしも理論的な裏付けがあるわけではありません。

アノマリーは大きく「カレンダーアノマリー(季節性)」「サイズアノマリー」「価格アノマリー」などに分類されます。

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2. アノマリーの具体的な内容

  • 1月効果(January Effect):年末に売られた小型株が1月に買い戻されやすく、株価が上がりやすい傾向。
  • セル・イン・メイ(Sell in May):「5月に売って秋まで市場から離れろ」という格言。夏場は株価が伸び悩みやすい。
  • サンタクロースラリー(Santa Claus Rally):年末から新年にかけて株価が上がりやすい現象。
  • 9月安(September Decline):9月は米株が下落しやすい月。
  • 曜日効果(Day of the Week Effect):月曜日は下がりやすく、金曜日は上がりやすいとされる傾向。
  • Dogs of the Dow:ダウ平均の高配当株を年初に買う戦略。

3. アノマリーの可視化 ― つまりいつ買うのが有利か

アノマリーの多くは「カレンダー効果」として、特定の月や時期に株価が上がりやすい/下がりやすいという形で現れます。

たとえば、S&P500の月別平均リターン(1928-2024年)では:

  • 11月が最も強く、次いで4月・7月が好調
  • 9月は唯一、下落することが多い月
  • 1月効果は近年やや弱まっているが、小型株では依然観測されやすい

このような傾向を棒グラフで可視化すると、「11月や4月に買うのが有利」という結果が見て取れます。

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4. 最も勝つ確率の高いものは?

統計的に最も勝率が高いのは「11月(November)」です。

  • 2000~2024年のS&P500データでは、11月の平均日次リターンは0.107%、陽線(上昇)確率は57%。
  • 長期的にも11月は最もパフォーマンスが高い月とされています。
  • 一方、9月は下落確率が高く、平均リターンもマイナスです。
  • また、大統領選挙の3年目(Election Year 3)も歴史的に高勝率とされます。

5. まだまだあるアノマリー ― 他のアノマリーの説明

  • 小型株効果(Small Firm Effect):小型株は大型株よりも平均リターンが高い傾向。
  • バリュー効果(Value Effect):低PER・低PBRのバリュー株が高リターンを示しやすい。
  • リバーサル効果(Reversal Effect):前期に下落した銘柄が翌期に反発しやすい(逆張り的傾向)。
  • Dogs of the Dow:ダウ平均の高配当株を年初に買う戦略。
  • 月曜効果(Monday Effect):月曜日は株価が下がりやすい(週末に悪材料が出やすい等)。

6. まとめ

  • アノマリーとは、理論では説明できないが過去データで観測される市場の“クセ”です。
  • 米国株では「11月が最も勝率が高く、9月は下がりやすい」などのカレンダー効果がよく知られています。
  • ただし、アノマリーは必ずしも将来も通用するとは限らず、発見・公表後は効果が薄れる傾向もあります。
  • 投資判断の唯一の根拠にするのではなく、マーケットの“季節性”や“傾向”を知る参考情報として活用しましょう。

アノマリーは「市場のクセ」に過ぎませんが、長期投資や資金投入のタイミングを考える上で一つのヒントになります。
ただし、過信や短期売買の根拠にするのはリスクもあるため、あくまで“参考情報”として活用しましょう。

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