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イスラエルがイランに攻撃、トランプ大統領はどう動く?

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最新の情勢:2025年6月の攻撃とその背景

2025年6月14日未明、イスラエルとイランは再び相互にミサイル攻撃を行い、両国は事実上の交戦状態に突入した。イスラエル軍はイラン各地の核施設を攻撃し、イスファハン近郊の核施設では濃縮ウラン再転換施設が破壊されたと発表している。一方、イランは報復として100発未満のミサイルをイスラエルに発射し、テルアビブに着弾して死傷者を出した

この最新の攻撃により、原油価格は2022年以来最大の上昇を記録し、金融市場にも大きな動揺が走っている。しかし今回の紛争激化で最も注目されるのは、トランプ大統領の対応である。

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トランプ大統領の現在の立場:交渉重視から警告へ

トランプ大統領は攻撃直前の12日には「衝突は回避したい」として外交的解決を優先する姿勢を示していたが、攻撃後は態度を一変させた。13日にはイランに対し、合意を成立させなければイスラエルによる「さらに残忍な」攻撃に直面すると警告している

興味深いのは、トランプ氏の発言が揺れ動いていることだ。ABCニュースのインタビューでは「素晴らしい攻撃だった」「そしてまだまだ続く」と述べた一方、NBCニュースでは「彼らにはまだもう一度チャンスがあるかもしれない」と交渉の可能性を示唆している

過去の例から見るトランプの中東政策パターン

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第一次政権(2017-2021年):強硬策と仲介外交の両立

トランプ氏の第一次政権時代の中東政策を振り返ると、今回の対応との共通点が見えてくる。

イラン核合意離脱(2018年)
2018年5月、トランプ大統領はオバマ政権が2015年に実現したイラン核合意から一方的に離脱した。トランプ氏は核合意を「根本的に欠陥がある」と批判し、「最高水準の経済制裁」をかけることを宣言した。この決定は、イランを「普通の国家」として扱うオバマ路線から、「敵性国家」として扱う方針への転換を意味していた

エルサレム首都認定(2017年)
2017年12月、トランプ大統領はエルサレムをイスラエルの首都として正式に認めると発表し、米大使館をテルアビブからエルサレムに移転すると表明した。これは約70年にわたる米国の外交政策の転換であり、「歴代で最もイスラエル寄りの大統領」と自称するトランプ氏の姿勢を象徴する決定だった

ソレイマニ司令官暗殺(2020年)
2020年1月、トランプ政権はイラン革命防衛隊のカセム・ソレイマニ司令官をバグダッド国際空港でドローン攻撃により殺害した。トランプ氏は「戦争を始めるためでなく、止めるため」だったと述べたが、この作戦により米国とイランの緊張は一気に激化した。

アブラハム合意の仲介(2020年)
一方で、トランプ政権は2020年にイスラエルとUAE、バーレーンとの関係正常化を仲介し、「アブラハム合意」を成立させた。この合意により、イスラエルは湾岸地域のアラブ諸国と初めて外交関係を持つことになった

第二次政権の特徴:「ディール重視」の姿勢

経済重視の中東政策
2025年5月の中東歴訪では、トランプ大統領はサウジアラビア、カタール、UAEとの間で総額約290兆円の投資協定を発表した。この訪問には、イーロン・マスクやソフトバンクの孫正義氏など著名な実業家も同行し、経済的な取引を重視する姿勢を鮮明にした

「商業が混沌に勝る」理念
トランプ大統領はリヤド演説で、中東地域が「混沌(Chaos)ではなく商業(Commerce)によって定義され、テロ(Terrorism)ではなく技術(Technology)を輸出する」地域になるべきだと述べている。これは第二次政権の中東政策の基本理念を示すものだ。

トランプ政権の今後の対応予測

1. 制裁強化と軍事圧力の継続

トランプ政権は第一次政権時同様、イランに対する「最大限の圧力」政策を継続すると予想される。2024年6月には米国が約50の団体・個人に制裁を科すなど、イランの軍事・核開発への資金源を断つ取り組みが続けられている。

2. イスラエルへの徹底支援

トランプ政権は「第1次政権時同様にイスラエルへの徹底した支援が想定される」と分析されている。年間38億ドル規模の軍事支援は継続され、今回の攻撃についても「素晴らしい攻撃だった」と評価している

3. 交渉の可能性は残す

しかし、トランプ氏は完全に軍事行動を支持するわけではない。「手遅れになる前に交渉のテーブルに着き、取引すべきだ」と述べ、イランとの核問題を巡る交渉の立て直しに躍起になっている姿勢も見せている

4. 湾岸諸国との経済関係強化

トランプ政権は湾岸諸国との関係において「経済面でのディール(取引)が中心となろう」と予測されている。実際、最近の中東歴訪では総額290兆円規模の経済協力で合意しており、これらの国々をイランに対する包囲網の一部として活用する戦略と考えられる。

国際情勢への影響と懸念

地域戦争拡大のリスク

イスラエルとイランの直接攻撃の応酬は史上初めてであり、両国の関係は45年にわたる「冷戦」から「熱戦」に転換する可能性がある。レバノンのヒズボラ、シリアのイラン系民兵組織、イエメンのフーシ派など、イランの「抵抗の軸」が本格的に参戦すれば、地域全体に戦火が拡大する恐れがある。

経済への影響

原油価格の急騰により、世界経済にも影響が及んでいる。中東は世界の原油供給の要衝であり、紛争の長期化は エネルギー価格の高止まりを招く可能性がある

トランプ政権内部の制約要因の欠如

第一次政権時には「大人たち」と呼ばれる側近が軍事行動に慎重だったが、第二次政権では「自身に忠誠を誓う人物で周辺を固めた」とされ、トランプ氏に歯止めをかける存在が不在の状況だ。

まとめ:予測される展開

トランプ大統領の対応を過去の例から分析すると、以下のような展開が予想される。

  1. 短期的には軍事圧力と制裁強化:イスラエルへの支援を継続し、イランに対する圧力を強める
  2. 中期的には交渉への転換の可能性:「北朝鮮方式」のような圧力と対話の組み合わせを試みる可能性
  3. 経済的な取引を通じた地域安定化:湾岸諸国との経済協力を深め、アブラハム合意の拡大を目指す

ただし、今回の紛争は核施設への直接攻撃という新たな段階に入っており、過去の例が必ずしも適用できない状況にある。トランプ大統領の「ディール重視」の姿勢と「アメリカ第一主義」が、この複雑な中東情勢にどのような影響を与えるか、今後の動向が注目される。

イランが15日に予定されていた米国との高官協議への出席を取りやめるなど、外交的解決への道筋は現時点では見えていない。トランプ大統領がどのような「取引」を提示し、この危機的状況を打開できるかが、中東地域の平和と安定の鍵を握っている。

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