最近、「PC用メモリやサーバー用DRAMの見積もりがやたら高い」と感じていませんか?
自分もついこの前、PCを64GBに増設しようとして価格を見て固まりました。「え、去年のセール価格の倍近くない?」というレベルです。
この記事では、**「DRAMの値段がなんでこんなに高騰しているのか?」**を、できるだけ専門用語をかみ砕きながら解説します。
キーワードは AI・HBM・DRAM大手3社(Samsung / SK hynix / Micron) です。
Contents
- 1 DRAMってそもそも何?
- 2 DRAMはどこに使われているのか?
- 3 AIで使われるDRAMとは?「HBM」と「サーバー向けDDR5」
- 4 1. GPUのすぐそばに載る「HBM」
- 5 2. AIサーバー側で使う「DDR5 / LPDDR」
- 6 なぜ今、DRAM価格がこんなに高騰しているのか?
- 7 1. AIデータセンターが、メモリを“買い占めている”構図
- 8 2. メーカーが「儲かるHBM」にラインを振り向けた
- 9 簡易グラフ:DRAM価格指数のイメージ
- 10 どういう会社がHBMを使っているのか?
- 11 主なHBMユーザー(チップ・プラットフォーム側)
- 12 DRAM関連の大手3社と「$MUブーム」の正体
- 13 投資家はどう考えるべきか?
- 14 1. 今は「AIメモリスーパーサイクル」の真ん中
- 15 2. どの銘柄を見るか:技術力とコスト競争力がすべて
- 16 3. DRAM高騰=そのまま“買い”とは限らない
- 17 まとめ:DRAM高騰は“AI+HBM時代”の副作用
DRAMってそもそも何?
まず基本から押さえます。
- DRAM(Dynamic Random Access Memory) は、PCやスマホ、サーバーなど「ほぼすべてのコンピュータ」に載っている**主記憶装置(メインメモリ)**です。
- データを一時的に保持し、CPUやGPUが高速に読み書きするための作業机のような役割。
- 電源を切ると中身は消える「揮発性メモリ」。
ストレージ(SSDやHDD)は「本棚」、DRAMは「作業机」とイメージすると分かりやすいと思います。
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DRAMはどこに使われているのか?
DRAMは、想像以上にあらゆるところに使われています。
- PC/ノートPC:DDR4 / DDR5
- スマホ/タブレット:LPDDR4X / LPDDR5 / LPDDR5X
- ゲーム機:PS5やXboxシリーズなどのシステムメモリ
- サーバー:データセンター向けDDR4 / DDR5
- 車載・産業機器:ADAS(自動運転支援)、産業用PCなど
特に近年は、データセンター向けサーバーDRAMと、スマホ向けDRAMが市場の大半を占めているとされています。
AIで使われるDRAMとは?「HBM」と「サーバー向けDDR5」
AI時代のメモリは、大きく2種類を押さえると流れが見えます。
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1. GPUのすぐそばに載る「HBM」
- HBM(High Bandwidth Memory) は、GPUのパッケージのすぐ横や上に積層して搭載される超高速メモリです。
- NVIDIAのH100 / H200 / B100、AMD MI300シリーズ、Google TPU、Amazon Trainium など、最新のAIアクセラレータはほぼ例外なくHBMを採用。
- 高速・高容量な代わりに、製造コストも桁違いに高いのが特徴。
TrendForceなどの調査では、
HBMはDRAMのビット出荷量の数%しかないのに、売上では2~3割を占めるというデータが出ています。
2. AIサーバー側で使う「DDR5 / LPDDR」
AIサーバーは、GPUだけでなくホスト側のCPUサーバーにも大量のメモリが必要です。
つまりAIでは、
「GPU用のHBM」+「CPUサーバー用のDDR5/LPDDR」
の両方でDRAMを爆食いしている状態です。
なぜ今、DRAM価格がこんなに高騰しているのか?
メインの疑問「なんで高騰するの?」に入ります。
1. AIデータセンターが、メモリを“買い占めている”構図
- 生成AIブームで、各社がNVIDIA H100/H200やAMD MI300などを**文字通り「世界中からかき集めている」**状況。
- それに伴い、GPU用HBMとサーバー用DDR5の契約が2026年分までほぼ完売状態と報じられています。
MicronやSK hynix幹部のコメントとして、
「メモリ需要が供給能力を大きく上回っている」
といった発言が相次いでおり、AIサーバーがメモリ供給を吸い尽くしている構図が見えてきます。
2. メーカーが「儲かるHBM」にラインを振り向けた
DRAMメーカーにとって、HBMは通常のDDR5よりはるかに高収益です。
そのため、Samsung / SK hynix / Micronといった大手3社は、
- 新しいウェハーキャパシティを「HBM」「サーバー向け高付加価値DRAM」に優先的に割り当て
- 汎用PC用・スマホ用DRAMの増産はかなり抑えめ
結果として、
「AI向けのHBMは増えているのに、一般向けDRAMは増えない → 価格が上がる」
という流れになっています。
簡易グラフ:DRAM価格指数のイメージ
TrendForceなどのレポートでは、
**DRAM平均販売価格(ASP)が2024年に前年比+53%、2025年に+35%**とされています。
これを2023年=100とした指数でざっくり表すと、こんなイメージです。
DRAM価格指数(イメージ、2023年=100)
|
1 2 3 4 5 |
text<code>年 指数 簡易グラフ 2023 100 ██████████ 2024 153 █████████████████ 2025 207 ███████████████████████ |
同時期のレポートでは、2025年末~2026年初にかけてDRAM契約価格が四半期ベースで50~90%上昇というデータも出ており、
「上がり方が異常」という評価すら出ています。
どういう会社がHBMを使っているのか?
HBMを大口で使う側は、ほぼAI関連に集中しています。
主なHBMユーザー(チップ・プラットフォーム側)
- NVIDIA:H100 / H200 / B100 / Blackwell系GPUにHBM3/3E/4を搭載
- AMD:MI250 / MI300 / MI325などのデータセンターGPU
- Intel:GaudiシリーズなどAIアクセラレータ
- Google:自社TPU(v4/v5など)でHBM採用
- Amazon(AWS):Trainium / Inferentiaシリーズ
- その他、各国のスーパーコンピュータ、HPCクラスタ向けGPU/アクセラレータ
要するに、
「大規模AIを回しているクラウド/プラットフォーマー」がHBMをがっつり消費している
DRAM関連の大手3社と「$MUブーム」の正体
DRAM市場は、実質的に3社寡占です。
特に**Micron(ティッカー:MU)**は、
- AI向けHBMの本格参入
- DRAM / NAND市況の底打ちからのV字回復
- 米国上場というアクセスのしやすさ
が重なり、2025年の株価は前年比+200%以上の上昇を記録しました。
これが、いわゆる「最近の$MUブームの正体」です。
AIサイクルに一番ストレートに乗れる“純粋メモリ銘柄”として評価されている、という見方が強いです。
投資家はどう考えるべきか?
ここまでを踏まえて、投資家目線でポイントを整理します。
(※以下は一般的な視点であり、特定銘柄の売買推奨ではありません)
1. 今は「AIメモリスーパーサイクル」の真ん中
- AIサーバー向け需要が、少なくとも2026〜2027年頃までは強いと見るレポートが多い。
- SK hynixの内部分析では、「汎用DRAMの供給不足は2028年まで続く可能性」という話も出ています。
- 一方で、メモリ業界は昔から「ブームの後には必ず供給過剰と暴落が来る」という超典型的なシクリカル産業でもあります。
→ 短期は強烈な追い風だが、いつかは需給バランスが反転する前提を忘れない方がよい領域です。
2. どの銘柄を見るか:技術力とコスト競争力がすべて
メモリメーカーを見るとき、個人的には以下を重視しています:
- HBMの技術優位性:何層積めるか、消費電力・歩留まりはどうか
- EUVなど先端プロセスへの投資余力:キャッシュと設備投資計画
- 製品ポートフォリオ:AI向け(HBM / サーバーDRAM)の比率が高いか
- 財務の耐久力:サイクルの逆風期でも生き残れるバランスシートか
この観点で見ると、大手3社(Samsung / SK hynix / Micron)が「AIメモリの本命」である構図はしばらく変わりにくいと考えられます。
3. DRAM高騰=そのまま“買い”とは限らない
DRAM価格が急騰しているからといって、
- すでに株価にかなり織り込まれている可能性
- サイクル後半でピーク近辺を掴むリスク
- 政治・規制(米中・輸出規制)リスク
個人的には、
- 「AIメモリスーパーサイクルに乗りたいのか」
- 「それとも、サイクルが落ち着いた時期の押し目を待ちたいのか」
を、自分のリスク許容度と時間軸で決めることが重要だと感じています。
まとめ:DRAM高騰は“AI+HBM時代”の副作用
最後にポイントを整理します。
- DRAMは、PC・スマホからAIサーバーまで、ほぼすべてのコンピュータで使われるメインメモリ。
- 生成AIブームで、HBM+サーバーDRAMが爆発的に増えたことが、DRAM高騰の最大要因。
- メーカーは高収益なHBMに設備をシフトし、汎用DRAMはなかなか増産されていない。
- その結果、DRAM平均価格は2024年+53%、2025年+35%と急上昇。
- 市場はSamsung / SK hynix / Micronの3社寡占。特にMicron(MU)はAIメモリの“純粋プレー”として脚光を浴びている。
- ただし、メモリは典型的なシクリカル産業。今の高騰期の裏には、将来の供給過剰と調整局面がほぼセットで付いてくる。
自分自身も、半導体セクターを追いかけながら「AIってここまでDRAM市場の構造を変えるのか…」と実感しているところです。
もしこの記事が、メモリ株やPCパーツの値段を眺めるときの“裏側のロジック”を理解する助けになればうれしいです。
(投資判断は必ずご自身の責任で、公式IR資料や最新の決算もあわせてチェックしてください)