米国株

AIショック到来?「なんか起こるよこれ」とざわつくアメリカと、これからの投資先

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ここ数週間、米国株ウォッチしていると、「AIが進化しすぎて、さすがに何か起こるだろこれ…」という空気が一気に濃くなってきているように感じる。
実際、Anthropicの新ツールをきっかけに、ソフトウェアや金融セクターがまとめて売られる場面も出てきて、「AIバブル」より「AIショック」に近いムードが出てきた。

ただ、これを悲観ストーリーだけで終わらせるのはもったいない
AIの進化スピードは確かに異常だが、それ以上の勢いでインフラ投資が膨らんでいて、そこに大きなチャンスが転がっている。

この記事では、

  • AIの進化が「やばいレベル」だと世界が認識し始めた背景
  • いま市場が一番ビビっているセクターと理由
  • アメリカと日本で、AIショックの受け方がどう違うか
  • これから狙いやすいセクター
  • 個人投資家としてどう動くかの整理

をまとめておく。
ちなみに筆者は、平日の朝は必ず米国市場とAI関連ニュースをチェックしてから仕事を始めるタイプで、最近はチャートを開く前に「AIインフラの設備投資」の数字を見に行ってしまうことが増えている。


1. ついに「AIやばくない?」がメインストリームになった

ここ1〜2年、AIの話題はずっとあったが、2025〜26年で質が変わった

  • 2026年時点で、80%以上の企業が生成AI APIを本番環境で利用、金融機能の90%が少なくとも1つはAIツールを導入するとの予測。
  • 大手ハイパースケーラー5社(Amazon / Microsoft / Google / Meta / Oracle)の2026年CapExは約6,020億ドル(前年比+36%)。そのうち約75%(4,500億ドル)がAIインフラ向け

表1:ハイパースケーラーの設備投資(推計)

年度CapEx(Big5合計)前年比
20242,560億ドル+63%
20254,430億ドル+73%
2026E6,020億ドル+36%

このレベルの投資は、もはや「ちょっとしたIT更新」ではなく、インターネット誕生級のインフラ再構築に近い。
CES 2026でも「次の勝負はモデルの賢さではなく、それを動かす“電力・冷却・接続”をどこが握るかだ」というメッセージが前面に出ていた。


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2. いま一番売られているのはどのセクターか

AI歓迎ムード一色かと言うと、実態はかなり違う。
ここ最近の売られ方をざっくり整理すると、「AIを使われる側」への恐怖が強く出ている。

2-1. AIショックで疑われているセクター

表2:AI進化で真っ先に疑われたセクターと理由

セクター何がAIに食われそうと言われているか市場の反応例
ソフトウェア / SaaS汎用LLM+エージェントが「専門ソフト要らない」世界をつくるAnthropicツール発表後、ソフト・サービス株で時価総額約1兆ドル吹き飛ぶ局面
金融サービス(証券・資産運用)AIアドバイザー/自動運用で手数料ビジネス崩壊、バックオフィス自動化で人員削減金融ETFがAI不安で数%〜1桁台後半のドローダウン
法務・会計・BPO書類レビュー/定型処理がLLM+RPAで自動化法務系ソフトやBPO関連株がAI関連ニュースのたびに売られる
クリエイティブ(広告・メディア)生成AIでコンテンツ量産→単価・マージン圧迫広告テック・クリエイティブ関連もボラ拡大

ここで重要なのは、「本当にその事業が消えるのか」と「市場がそう思い込んで売っている」のは別という点。

  • 実際の現場では、AIは
    • 与信・不正検知・レポート作成・カスタマーサポート
      効率化するツールとして導入されていて、AIを入れたからすぐビジネスがゼロになるわけではない。
  • しかし株式市場は、「最悪シナリオ(全部置き換わる)」を一気に織り込んで売っている、というのが足元のAIショックの正体に近い。

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3. アメリカと日本、AIショックの受け方の違い

同じAIショックでも、アメリカと日本では構造がかなり違う

3-1. 米国:クビを切れるからAI導入も加速

Indeed × 各国中銀の調査によると、日米のフルタイム労働者は、
「今後10年でAIに置き換えられる仕事は何%くらいか?」という問いに対し、

  • 日本:30%
  • 米国:33%

と、見ている数字はほぼ同じだった。

一方で、実際にGenAIを私的に使っている人の割合は、

  • 米国:69%
  • 日本:31%

と大きな差がある。

米国では、

  • 解雇が比較的しやすい労働市場
  • 「効率化できるなら、人もソフトも一気に入れ替える」文化

があるため、AI導入→人員削減→コスト削減のサイクルが回りやすく、株価への織り込みも早い。
AIショックで一時的にソフト・金融株が売られても、設備投資によるAIインフラ銘柄の追い風は同時に強まっている。

3-2. 日本:クビを切れないから、AI活用も遅れやすい

IMFの日本労働市場レポートでは、
「日本の労働者は他の先進国と比べてAIへの“暴露度”が低く、AIによる労働不足の解消効果も限定的」と指摘されている。

  • 終身雇用・年功序列の慣行
  • 配置転換で人を余らせても、本当に人員削減までは踏み込まない
  • その結果、AI投資の“元を取る”モチベーションも弱くなりがち

という構造があるため、

  • 雇用は守れるが、生産性ギャップは広がりやすい
  • 米企業がAIでコスト構造を改善していく間、日本企業はそこまで振り切れない

というリスクがある。

日本の金融・大企業のトップは、「AIで雇用が一気に消えることはない」と安心させるコメントを出しているが、
裏を返せば、AIを本気で使うインセンティブも弱くなりがちということでもある。


4. これから狙いやすいセクターはどこか

悲観ストーリーだけ追っても資産は増えないので、どこにお金が流れているかを冷静に見ていきたい。

4-1. AIインフラ(GPU・半導体・メモリ・パッケージング)

まずは王道中の王道、AIインフラ

  • ハイパースケーラーCapExのうち75%がAIインフラ(GPU・サーバー・データセンター)向け
  • その中核を握るのが、
    • GPU・アクセラレータ(NVIDIA / AMD など)
    • 先端プロセス・アドバンストパッケージング(TSMCなど)
    • HBMメモリ(Micron / SK hynix 等)
  • 2025→26年にかけて、HBM3eやCoWoS(TSMCの高密度パッケージング)への需要は
    • HBM3e需要 +150%
    • CoWoSキャパシティ +100%
      という水準まで引き上げられている。

AIがどのセクターを壊すかは読みにくくても、
「モデルを動かす計算とメモリと配線」が要る事実は変わらないので、
このレイヤーは長期で押さえておきたいところ。

4-2. データセンター・電力・冷却

AIモデルを回すには、電力と空調と建屋が必須。

  • 2026年のCapExのうち、データセンター建設関連だけで約1,200億ドル
    15–20GWの新規容量、世界で500以上の新施設という試算もある。

AIインフラはGPUだけで完結しないので、

  • データセンターREIT
  • 電力会社(特に再エネ・ガス火力で柔軟性のあるところ)
  • 変圧器・配電機器・液冷などの設備メーカー

も、中長期では恩恵を受けるポジションになりやすい。

4-3. セキュリティとガバナンス

金融業界では、AIの採用が進むほどガバナンスとセキュリティにお金を使わざるを得ない。

  • 2026年までに、金融機能の90%がAI関連ツールを導入する見通し。
  • 一方で、AIはブラックボックス性やバイアス、生成物の偽造(ディープフェイク)など新しいリスクも増やす。

結果として、

  • アイデンティティ管理(IDaaS)
  • 不正検知・AML
  • AIモデルのモニタリング・説明可能性ツール

など、「AIを安全に使うためのレイヤー」も中長期テーマになっていく。

4-4. 「AIを使う側」で強くなる企業

全部がインフラ銘柄でなくても良いのがポイント。

金融の例でいうと、

  • 2026年は「AIで金融部門が再設計される年」と言われており、
    50%の財務部門が既にAIをテスト導入、86%が今後さらに活用予定。
  • AI導入企業は、
    • ドキュメント処理時間40〜60%削減
    • カスタマーサポート応答時間30〜50%短縮
      といった実績が出始めている。

つまり「AIで自分のビジネスを強くする」側に回れる金融・ソフトウェア・産業系の企業も、
中長期では勝者候補になる。


5. 投資家はどう動く?スタンス整理

では、実際にポートフォリオをどう組むか。

ここからは「米国株中心で8年くらい運用している一般的な個人投資家」をイメージしたうえでのスタンス整理になる。

5-1. コア:AIインフラを長期の土台にする

  • GPU・半導体・ファウンドリ・HBM・光通信用半導体など、AIインフラの中核
    • 設備投資の額
    • サプライチェーンの制約
      を見ても、少なくとも数年は構造的な追い風が続く可能性が高い。
  • 景気悪化やAIバブル調整で一時的に売られる場面はあっても、
    「モデルのパラメータ数とトークン数が増え続ける限り」、需要の土台は崩れにくい。

5-2. サテライト:AIショックで売られすぎた“使う側”をつまむ

  • ソフトウェアや金融など、「AIに食われる」と言われて売られた銘柄の中にも、
    • 実際には自社プロダクトにAIを組み込み始めている
    • 財務体質が強く、サブスクや預かり資産が厚い
      といった企業がある。
  • これらは、AI悲観ストーリーが一巡したあとにリレーリバウンドが出やすいゾーンなので、
    コアのインフラに対して、少額でサテライトとして拾っていくイメージ。

5-3. 日本株は「人口減×AI」で選ぶ

日本は解雇規制の関係で、米国のような“AIリストラ相場”にはなりにくいが、
その分だけ資本効率や成長力で差がつきやすい

  • 人口減・人手不足をAI・自動化で埋めようとしている
  • 海外向けにAIサービス/部品を供給している
  • 電力・インフラ系でAIデータセンター需要を取り込める

といった銘柄は、国内の構造問題×グローバルAI投資という2つの追い風を受けやすい。

5-4. メンタル面:AI悲観ニュースに振り回されすぎない

最近は、AI関連のネガティブニュースが出るたびに、

  • 「この仕事は全部AIに奪われる」
  • 「このセクターは終わり」

といった極端な見出しが並ぶが、
実証研究ベースでも、「AIは仕事を完全に消すというより、業務内容を変える」側面が強いとされている。

  • AIが得意な定型タスク
  • 人間が得意な文脈理解・関係構築・最終判断

の分業が進むだけで、
AIショック=全滅、ではないという感覚を持っておくと、変なところで狼狽売りをせずに済む。


6. まとめ:AIショック時代の投資は「壊れる場所」より「支える土台」へ

最後にポイントを整理すると、

  1. AIの進化は、もはやニッチではなくマクロ要因
    • 2026年のハイパースケーラーCapExは約6,020億ドル、その75%がAIインフラ向け。
    • 金融・ソフト・製造など、ほぼ全産業の業務プロセスがAI前提で組み替えられつつある。
  2. 足元で一番揺れているのは「AIを使われる側」
    • ソフトウェア、金融、BPO、クリエイティブなどが「AIに食われる」と見られて売られやすい。
  3. 米国はAI導入+人員削減でショックが一気に出る、日本は雇用は守るが生産性で差がつきやすい
    • 日米ともに「10年で3割の仕事がAIに置き換わる」と見ているが、実際のGenAI利用率は米国69%、日本31%。
    • 日本はAIへの「暴露」も低く、労働力不足をAIで補うポテンシャルが十分に活かされていない。
  4. これから狙いやすいのは「AIインフラ」と「AIで強くなる側」
    • GPU・半導体・メモリ・データセンター・電力などのインフラレイヤーは、数年単位の投資サイクルが見えている。
    • 金融やソフトでも、AIを組み込んでコスト構造を改善できる企業は中長期で勝者側に回る。
  5. 個人投資家としては、AI悲観ニュースに過剰反応しすぎず、構造的な資本の流れを見る

筆者自身、毎朝AI関連のニュースを見ていると「いよいよ本当に世界が変わるフェーズに来たな」と感じることが増えた。
ただ、それは同時に、今までの延長線上では拾えないリターンの源泉が生まれているということでもある。

  • 壊れる可能性がある事業モデルにだけ注目して不安になるか
  • その裏で積み上がっているインフラ投資と、新しい勝者候補に注目するか

どちらに意識を向けるかで、数年後のPFの景色はかなり変わってくるはず。
「AIが進化しすぎてなんか起こるよこれ」とざわつくタイミングこそ、
腰を据えてどこにお金が流れ、どのレイヤーが一番強いかを見直すチャンスだと思う。

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