株式投資を始めたばかりの頃、誰もが一度は憧れるのが「あの人と同じ銘柄を買えば儲かるんじゃないか」という甘い考えです。実際、私の周りでも「○○さんがおすすめしていた銘柄を買ったよ」という会話をよく耳にします。しかし、他人のトレードをそのまま真似するだけでは、残念ながら大抵の場合は失敗に終わります。

投資初心者と経験者の失敗しやすい行動パターンの比較
今回は、投資歴8年の経験者として、なぜミラートレード(他人の真似)がうまくいかないのか、その理由と対策について詳しく解説していきます。
Contents
- 1 なぜ初心者は他人の真似をしたがるのか?
- 2 楽して儲けたいという心理
- 3 「同調行動」という人間の本能
- 4 他人のトレードを真似する人の典型的なパターン
- 5 パターン1:インフルエンサーの真似をする
- 6 パターン2:知人や家族の推奨株を購入する
- 7 真似がうまくいかない5つの理由
- 8 1. 購入・売却のタイミングがズレる
- 9 2. 購入根拠を理解していない
- 10 3. 投資資金や投資スタイルの違い
- 11 4. 感情のコントロールができない
- 12 5. 継続的な学習をしない
- 13 実際の失敗事例を見てみよう
- 14 事例1:高配当株の罠
- 15 事例2:成長株への集中投資
- 16 事例3:短期売買の真似
- 17 それでも他人から学ぶには?正しいアプローチ方法
- 18 1. 投資の「考え方」を学ぶ
- 19 2. 複数の情報源から学ぶ
- 20 3. 失敗例から学ぶ
- 21 4. 小額から実践する
- 22 自分なりの投資スタイルを確立するために
- 23 基本的な知識を身につける
- 24 投資日記をつける
- 25 長期的な視点を持つ
- 26 まとめ:真似ではなく、学びから始めよう
なぜ初心者は他人の真似をしたがるのか?
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楽して儲けたいという心理
投資初心者にとって、株式投資は複雑で難しいものに見えます。財務諸表の読み方、テクニカル分析、マクロ経済の理解など、学ぶべきことは山ほどあります。そんな中で、「成功している人の真似をすれば簡単に儲かる」という考えに飛びつくのは自然な心理です。
「同調行動」という人間の本能
行動経済学では、私たちが他人と同じ行動を取ることで安心する「同調行動」があると説明されています。投資においても、一人で判断するより、誰かの後について行く方が心理的に楽なのです。
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他人のトレードを真似する人の典型的なパターン
実際の調査によると、**株式投資で損失を経験した投資家は全体の89.5%**にも上ります。その中でも、他人の意見に流される初心者は実に多く存在します。
パターン1:インフルエンサーの真似をする
最近では、YouTubeやSNSで投資情報を発信する人が増えています。ある投資家の体験談では、FXのYouTuberを真似して証拠金の8割を失ったという苦い経験があります。「この人はプラスになっているから真似すれば大丈夫」と思ったものの、結果的にロスカットされ、大きな損失を被ったのです。
パターン2:知人や家族の推奨株を購入する
「父親が銀行員で投資に詳しいから」と信頼して推奨株を購入したところ、なんとその会社が倒産してしまったという実例もあります。どんなに信頼できる人でも、100%正確な予測は不可能なのです。
真似がうまくいかない5つの理由

投資初心者が失敗する主な理由を示した円グラフ
1. 購入・売却のタイミングがズレる
他人の取引情報を知った時には、すでに最適なタイミングを逃していることがほとんどです。「買い」の情報を聞いて慌てて購入しても、それがすでに高値掴みになってしまうケースが多いのです。
2. 購入根拠を理解していない
なぜその銘柄を選んだのか、どのような分析に基づいているのかを理解せずに真似をすると、株価が下がった時に適切な判断ができません。「なぜ下がっているのか分からない」「いつまで持てばいいのか分からない」という状況に陥ってしまいます。
3. 投資資金や投資スタイルの違い
成功している投資家と初心者では、投資に使える資金や許容できるリスクが大きく異なります。億単位の資産を持つ投資家と10万円の投資資金しかない初心者では、取るべき戦略が根本的に違うのです。
4. 感情のコントロールができない
調査データによると、投資初心者の72%が適切な損切りができず、68%が感情的な判断をしてしまう傾向があります。他人の真似で始めた投資では、自分なりの判断基準がないため、感情に振り回されやすくなります。
5. 継続的な学習をしない
真似に頼っていると、自分で市場を分析したり、企業研究をしたりする習慣が身に付きません。結果として、投資スキルが向上せず、いつまでたっても自立した投資家になれないのです。
実際の失敗事例を見てみよう
事例1:高配当株の罠
投資家Cさんは、ネットで「配当利回り5%の優良株」として紹介されていた銘柄を購入しました。しかし、その高配当の理由は業績悪化による株価下落だったため、配当も廃止され、株価も大幅に下落してしまいました。
事例2:成長株への集中投資
成功している投資家のブログを読み、「この銘柄一本で勝負する」と決めて全資金を投じた投資家がいました。しかし、その企業が不祥事を起こしてしまい、株価が半分以下に下落。分散投資の重要性を痛感したといいます。
事例3:短期売買の真似
デイトレーダーの手法を真似して短期売買を始めた初心者が、手数料負けして資産を減らしたというケースも多くあります。短期売買には高度な技術と経験が必要で、初心者がいきなり真似できるものではないのです。
それでも他人から学ぶには?正しいアプローチ方法
1. 投資の「考え方」を学ぶ
銘柄名をそのまま真似するのではなく、なぜその銘柄を選んだのか、どのような分析プロセスを経たのかを理解することが重要です。
2. 複数の情報源から学ぶ
一人の意見を鵜呑みにするのではなく、複数の投資家の考え方を比較検討しましょう。共通する部分を抽出することで、より確実性の高い投資手法を身につけることができます。
3. 失敗例から学ぶ
成功例よりも失敗例の方が学習効果が高いという研究結果があります。なぜ失敗したのか、どうすれば避けられたのかを分析することで、同じミスを防ぐことができます。
4. 小額から実践する
他人の手法を参考にする場合でも、まずは小額から始めて自分なりの検証を行うことが大切です。
自分なりの投資スタイルを確立するために
基本的な知識を身につける
- 財務諸表の読み方
- 基本的なテクニカル分析
- マクロ経済の基礎知識
- リスク管理の方法
これらの基礎知識があって初めて、他人の分析を正しく理解し、自分なりの判断ができるようになります。
投資日記をつける
なぜその銘柄を買ったのか、売ったのか、その時の心理状態はどうだったかを記録しておきましょう。後から振り返ることで、自分の投資パターンや弱点が見えてきます。
最近は、様々なツールがあるので、少し探して、自分なりの記録をつけてみるのも経験としては良いでしょう。
長期的な視点を持つ
調査によると、失敗を経験した投資家の41.6%が「長期・分散・積立投資」に方針転換していることが分かっています。短期的な値動きに一喜一憂せず、長期的な成長を見据えた投資を心がけましょう。
まとめ:真似ではなく、学びから始めよう
他人のトレードを真似することは、一見効率的に見えますが、実際には多くの落とし穴があります。投資の成功は、他人の成功をコピーすることではなく、自分なりの投資哲学と手法を確立することから始まります。
私も投資を始めた当初は、有名投資家の銘柄選択を真似したことがありました。しかし、含み損が出た時に「なぜこの株を持っているのか」を説明できず、恐怖で早期に売却してしまった経験があります。
今では、他人の意見は参考程度に留め、必ず自分なりの分析と納得の上で投資判断を行っています。この姿勢の変化が、より安定した投資成果につながっていると感じています。
他人の真似から始めるのではなく、基礎知識の習得と小額での実践から始めることをお勧めします。時間はかかりますが、それが確実に資産を築く近道なのです。
投資は自分自身との長い付き合いです。他人に依存するのではなく、自分の頭で考え、自分の判断で行動できる投資家を目指しましょう。