最近、金価格が絶好調ですよね。2025年10月には、なんと1トロイオンスあたり4,000ドルを超える勢いで、過去最高値を更新し続けています。この記事を読んでいる皆さんの中にも、「金に投資したいけど、どうすればいいの?」と悩んでいる方が多いのではないでしょうか。
私も投資を始めたばかりの頃は、金のETFって何があるのか全然わかりませんでした。物理的に金を買うのはハードルが高いし、保管場所も心配ですよね。でも調べてみると、**GLD(SPDR Gold Shares)とGDX(VanEck Gold Miners ETF)**という2つの人気ETFがあることがわかりました。
この記事では、米国株投資を中心に8年間相場を見てきた一般投資家の視点から、この2つのETFの違いを初心者にもわかりやすく解説します。データに基づいた比較もしっかり行うので、ぜひ最後までお読みください!
Contents
- 1 金価格が順調に上昇している背景
- 2 金関連のETFとは?
- 3 1. 物理的な金に連動するETF
- 4 2. 金鉱株に投資するETF
- 5 GLDとGDXの違いは?
- 6 投資対象の違い
- 7 リスクとリターンの違い
- 8 コスト(経費率)の違い
- 9 パフォーマンスの比較(2024年~2025年)
- 10 GDXの構成銘柄は?
- 11 構成銘柄トップのNewmont Corporation(NEM)って?
- 12 会社概要
- 13 事業地域
- 14 業績(2025年第1四半期)
- 15 株価パフォーマンス
- 16 投資家へのリターン
- 17 今後の見通し
- 18 投資家はどうする?GLDとGDXの選び方
- 19 GLDが向いている人
- 20 GDXが向いている人
- 21 両方に投資するという選択肢も
- 22 投資タイミングの考え方
- 23 まとめ
金価格が順調に上昇している背景
まず、なぜ今金が注目されているのかを簡単におさらいしましょう。
2024年から2025年にかけて、金価格は驚異的な上昇を見せています。JPモルガンのアナリストによると、金価格は2025年第4四半期には平均3,675ドル/オンス、2026年第2四半期には4,000ドル/オンスに達すると予測されています。
金が買われる理由はいくつかあります。
インフレヘッジとして:インフレが進むと通貨の価値が下がりますが、金は実物資産なので価値が保たれやすいです。
地政学リスクへの対応:世界的な不確実性が高まると、安全資産として金が買われます。
中央銀行の金買い:各国の中央銀行が外貨準備として金を積極的に購入しています。
米ドル安:ドルが弱くなると、ドル建てで取引される金の魅力が相対的に高まります。
このような背景から、金関連のETFに投資する人が増えているわけです。State Street Global Advisorsの調査によると、金ETFに投資している人の84%がポートフォリオのパフォーマンス向上を実感していると回答しています。
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金関連のETFとは?
金に投資する方法はいくつかありますが、多くの投資家にとって最も手軽なのが**金ETF(Exchange-Traded Fund)**です。
金ETFには大きく分けて2つのタイプがあります。
1. 物理的な金に連動するETF
これは実際の金地金(ゴールドバー)を保有し、その価格に連動するETFです。代表的なのが**GLD(SPDR Gold Shares)**で、世界最大の金ETFとして知られています。このタイプのETFは、金価格とほぼ同じ動きをするので、純粋に金の値上がり益を狙う投資家に向いています。
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2. 金鉱株に投資するETF
こちらは金を採掘する企業の株式に投資するETFです。代表的なのが**GDX(VanEck Gold Miners ETF)**で、世界中の大手金鉱会社に分散投資します。金価格が上がると金鉱会社の利益も増えるので、理論的には金価格以上のリターンが期待できます。ただし、企業経営のリスクも伴うため、価格変動は大きくなります。
GLDとGDXの違いは?
それでは、GLDとGDXの具体的な違いを見ていきましょう。
投資対象の違い
**GLD(SPDR Gold Shares)**は、物理的な金地金そのものに投資します。ETFが実際に金を保有し、その価格変動がETFの価格に反映される仕組みです。配当はありません。
一方、**GDX(VanEck Gold Miners ETF)**は、金鉱株のポートフォリオで構成されています。世界中の金採掘企業約54社に分散投資しており、これらの企業の株価がETFの価格を決定します。配当も支払われます。
リスクとリターンの違い
GLDは金価格にほぼ連動するため、比較的安定しています。金そのものの価格変動リスクのみを負うことになります。
GDXは金価格の変動に加えて、企業の経営リスク、カントリーリスク(鉱山がある国の政治・経済リスク)、為替リスクなども影響します。その代わり、金価格が上昇すると金鉱会社の利益が大きく増えるため(固定費があるため利益が増幅されやすい)、GLDを上回るリターンが期待できます。
実際、2024年から2025年10月末までの期間を見ると、GLDの累積リターンが約91%だったのに対し、GDXは約132%と大きくアウトパフォームしています。
コスト(経費率)の違い
どちらも比較的低コストですが、GLDの方がわずかに安いです。
パフォーマンスの比較(2024年~2025年)
実際のデータで比較してみましょう。
| 指標 | GLD | GDX |
|---|---|---|
| 2024年リターン | +26.96% | +10.96% |
| 2025年リターン(年初来10月末まで) | +48.47% | +100.96% |
| 2024年初来の累積リターン | +91.05% | +132.40% |
2024年はGLDが優勢でしたが、2025年に入ってからGDXが急激に追い上げ、年初来で2倍以上のリターンを記録しています。これは金価格の上昇に加えて、金鉱株への投資家の期待が高まったことが要因です。
GDXの構成銘柄は?
GDXに投資する場合、どんな企業に投資することになるのでしょうか?主要な構成銘柄を見てみましょう。
トップ5構成銘柄:
- Newmont Corporation (NEM) - 約13.76%
- Barrick Gold Corporation (GOLD) - 約5.47%
- Gold Fields Limited (GFI) - 約4.87%
- Agnico Eagle Mines Limited (AEM) - 構成比率上位
- Franco-Nevada Corporation (FNV) - 構成比率上位
この他にも、Kinross Gold (KGC)、Harmony Gold Mining、Endeavour Miningなど、世界中の金鉱会社が組み入れられています。
構成比率は定期的にリバランスされるため、最新情報はVanEckの公式サイトで確認することをおすすめします。
構成銘柄トップのNewmont Corporation(NEM)って?
GDXの最大保有銘柄である**Newmont Corporation(ティッカー:NEM)**について、もう少し詳しく見てみましょう。
会社概要
Newmontは1916年創業の世界最大の金鉱会社で、本社はコロラド州デンバーにあります。金だけでなく、銅、銀、亜鉛、鉛も生産しています。
事業地域
Newmontは北米、南米、オーストラリア、アフリカ、パプアニューギニアなど、世界中に鉱山を保有しています。主要な鉱山には、Brucejack、Red Chris、Penasquito、Boddington、Tanami、Cadiaなどがあります。
業績(2025年第1四半期)
- 金生産量:150万オンス(attributable)
- 純利益:19億ドル
- 調整後EBITDA:26億ドル
- フリーキャッシュフロー:12億ドル(第1四半期として過去最高)
株価パフォーマンス
2025年10月29日時点のNEM株価は79.34ドルで、52週間の値幅は36.86ドル~98.58ドルです。PERは約12.3倍と、金鉱株としては比較的割安な水準です。
アナリストの平均目標株価は97.17ドルで、現在の株価から約23.6%の上昇余地があると見られています。
投資家へのリターン
Newmontは2025年に7.55億ドル相当の自社株買いを実施しており、株主還元にも積極的です。四半期配当も0.25ドル/株を支払っており、配当利回りは約1.27%です。
今後の見通し
Newmontは2025年通年で約590万オンスの金生産を予定しており、2024年の597万オンスとほぼ同水準を維持する計画です。また、非中核資産の売却プログラムを完了し、最大43億ドルの総収入(税引後現金収入として25億ドル以上)を得ることに成功しました。
このように、Newmontは金鉱業界のリーダーとして安定した生産と財務基盤を持っており、GDXの中核銘柄として重要な役割を果たしています。
投資家はどうする?GLDとGDXの選び方
では、結局どちらに投資すべきなのでしょうか?答えは、あなたの投資目的とリスク許容度によります。
GLDが向いている人
- 安定志向:金価格に連動した安定的なリターンを求める人
- リスク回避:企業の経営リスクを避けたい人
- 長期保有:ポートフォリオの一部として金を長期保有したい人
- 初心者:金投資が初めてで、シンプルな商品が良い人
金は伝統的に「安全資産」として扱われており、株式市場が不安定な時期にポートフォリオを守る役割を果たします。専門家の多くは、ポートフォリオの5~10%を金に配分することを推奨しています。
GDXが向いている人
- 積極投資:より高いリターンを狙いたい人
- リスク許容度が高い:価格変動が大きくても耐えられる人
- 短~中期投資:金価格の上昇局面で大きく利益を得たい人
- 分散投資:金鉱株という別のアセットクラスに投資したい人
金鉱株は金価格上昇時に「レバレッジ効果」を発揮します。固定費があるため、金価格が上がると利益率が大きく向上するのです。実際、2025年の金価格上昇局面では、GDXはGLDを大きく上回るパフォーマンスを示しました。
両方に投資するという選択肢も
もちろん、両方に投資するのも一つの戦略です。たとえば、ポートフォリオの5%をGLD、3%をGDXに配分するといった形です。これにより、金の安定性と金鉱株のレバレッジ効果の両方を享受できます。
投資タイミングの考え方
金投資では「ドルコスト平均法」が有効です。毎月一定額を積み立てることで、高値掴みのリスクを減らし、平均取得単価を平準化できます。
また、金は株式市場と逆相関することが多いため、株式が下落している時期に金を買い増すのも良い戦略です。
まとめ
金関連のETFであるGLDとGDXは、それぞれ異なる特徴を持っています。
**GLD(SPDR Gold Shares)**は、物理的な金地金に連動し、安定的に金価格の変動を享受できるETFです。リスクを抑えたい投資家や、ポートフォリオの一部として金を長期保有したい人に向いています。
**GDX(VanEck Gold Miners ETF)**は、金鉱株に投資するETFで、金価格上昇時に大きなリターンが期待できる一方、価格変動も大きくなります。より積極的なリターンを狙いたい投資家に適しています。
2024年から2025年にかけての実績を見ると、GLDは約91%、GDXは約132%のリターンを記録しており、金価格の上昇局面ではGDXの方が高いパフォーマンスを示しました。
どちらを選ぶかは、あなたの投資スタイルとリスク許容度次第です。金は伝統的に安全資産とされていますが、投資である以上リスクはゼロではありません。自分の投資目的をしっかり考え、必要であれば両方に分散投資するのも良いでしょう。
金価格は今後も注目されそうです。この記事が、皆さんの金投資の第一歩を踏み出す参考になれば幸いです!