最近、投資系のSNSやYouTubeで「アルゼンチン銘柄」という言葉を目にする機会が増えました。正直なところ、少し前まで私自身も「南米の経済危機の国」というイメージしか持っていませんでした。でも、調べてみると予想以上に話題になっている理由があることが分かったんです。
今回は、アルゼンチン銘柄への投資が本当に「買い」なのか、初心者目線でリアルに考えてみます。
Contents
なぜ今、アルゼンチン銘柄が注目されているのか?
2023年末にハビエル・ミレイ大統領が就任してから、アルゼンチンは歴史的な経済改革の真っ只中にあります。この改革が投資家の間で大きな話題になっているのです。
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注目される3つの理由
1. 劇的なインフレ抑制に成功
アルゼンチンといえば「ハイパーインフレ」が代名詞でした。2023年末には年率211.4%という驚異的なインフレ率を記録していましたが、2025年9月には31.8%まで低下しています。月次でも2.1%まで落ち着き、5年ぶりの低水準です。この数字の改善スピードは、経済学者も驚くレベルだそうです。
2. 財政黒字化という「奇跡」
最も驚くべきは財政収支の改善です。2023年には対GDP比4.4%の赤字だったのが、2025年には1.6%の黒字に転換しました。アルゼンチンのような国が、デフォルト(債務不履行)せずに財政を黒字化するのは極めて異例です。
3. IMFからの新規支援と資本規制の緩和
2025年4月、アルゼンチンはIMF(国際通貨基金)と200億ドル規模の新たな支援プログラムで合意しました。これにより外貨準備が増強され、資本取引規制の段階的解除が可能になりつつあります。

アルゼンチン経済指標の劇的な改善(2023年末 vs 2025年)
上のグラフを見ると、アルゼンチン経済がいかに劇的に改善しているかが一目瞭然です。
アルゼンチンの現在の情勢:「ショック療法」の功罪
ミレイ政権は「チェーンソー経済学」と呼ばれる大胆な改革を断行しました。具体的には:
- 10の省庁を廃止し、53,000人以上の公務員を削減
- 1日2件ペースで規制を撤廃(2025年8月までに1,246件の規制を廃止)
- ペソを55%切り下げ、為替レートを市場に近づける
- 補助金の大幅カット
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改革の成果
これらの施策により、経済指標は目覚ましい改善を見せています:
- 2024年の経済成長率:-1.3%(マイナス成長)
- 2025年の成長率予測:+4.3〜5.5%(プラス転換)
- 貧困率:52.9%(2024年上半期)→38.1%(下半期)に大幅改善
- 失業率:6.4%で安定
一方で残る課題
改革は成果を上げていますが、課題も山積しています:
これからのアルゼンチンはどうなる?
2025年10月の中間選挙で勝利
2025年10月26日に実施された中間選挙で、ミレイ大統領の政党「自由前進」は大幅に議席を増やしました。投票率は40%を超え、野党連合を31.7%で上回る圧勝でした。
この勝利により:
2026年以降の展望
多くの経済機関は、アルゼンチンの2026年も成長が続くと予測しています:
ただし、これらはすべて改革が順調に進むことが前提です。政治的な混乱や外部ショックがあれば、再び危機に陥るリスクも残っています。
投資できるアルゼンチン銘柄は?
アルゼンチン銘柄への投資方法は大きく分けて2つあります。
方法1:個別株への投資
米国市場に上場しているADR(米国預託証券)を通じて、アルゼンチン企業の株を買うことができます。
主要なアルゼンチン銘柄
特にMercadoLibreは注目株です。アルゼンチン発祥ですが、事業の大部分はブラジルとメキシコで展開しており、アルゼンチンリスクを分散できています。2025年第1四半期の売上高は前年比37.2%増と好調です。
YPFは、リチウムなどの資源開発を進める「バカムエルタ・スール石油開発計画」が政府の大型投資奨励制度(RIGI)の第2号案件として承認され、将来性が期待されています。
Grupo Financiero Galiciaは、アルゼンチン経済の正常化に伴い、銀行セクターが最も恩恵を受けると見られています。
方法2:ETFで分散投資
個別株のリスクが怖い場合は、ETFで分散投資するのが賢明です。
Global X MSCI Argentina ETF(ARGT)

アルゼンチンETF(ARGT)の構成銘柄上位10とその他
ARGTの上位構成銘柄を見ると、MercadoLibreが約24%を占めており、実質的には「MELI+アルゼンチン株」のポートフォリオになっています。
リスクとチャンスを冷静に見る
投資リスク
アルゼンチン銘柄への投資には、無視できないリスクがあります:
- 為替リスク:ペソ安が進行すると、ドル建て資産価値が目減りする
- 政治リスク:改革への社会的反発や政権交代のリスク
- ボラティリティの高さ:新興国株特有の値動きの激しさ
- 資本規制:完全撤廃までは外資の出入りに制約が残る
- 債務返済問題:過去に何度もデフォルトした歴史
- インフレ再燃リスク:改革が頓挫すればインフレが再加速する可能性
特に注意すべきは、2025年7月にニューヨークの裁判所がYPFの政府保有株51%を過去の賠償金支払いに充てるよう命じた件です。このような法的リスクも存在します。
投資チャンス
一方で、大きなチャンスもあります:
- 資源開発の本格化:リチウム、シェールガス、農産物などの豊富な資源
- 外資流入の兆候:改革への信頼が高まり、FDI(外国直接投資)が増加傾向
- 構造改革の継続:中間選挙勝利で改革推進力が強化
- バリュエーションの妙味:まだ割安に放置されている銘柄も
- IMF支援の安心感:200億ドルの新規融資で外貨準備が強化
投資家はどう判断すべきか?私の考え
正直に言うと、アルゼンチン銘柄は**「ハイリスク・ハイリターン」の典型**です。
私自身、米国株を中心に投資してきましたが、アルゼンチンのような新興国は「ポートフォリオのスパイス」として位置づけるべきだと感じています。全資産の5〜10%程度を上限に、余裕資金で投資するのが現実的でしょう。
具体的な投資戦略
初心者にオススメの方法
- まずはETF(ARGT)から始める:個別株よりもリスク分散ができます
- ドルコスト平均法を活用:一括投資ではなく、毎月少額ずつ積み立てる
- 損切りラインを決めておく:-20%など、明確なストップロスを設定
- ニュースを定期的にチェック:政治・経済情勢の変化を見逃さない
中級者以上の戦略
- 個別株で狙いを定める:MercadoLibreやGGALなど、成長性の高い銘柄に集中投資
- セクター分散:金融、エネルギー、Eコマースなど、異なるセクターに分散
- タイミングを見極める:選挙や政策発表後の値動きを見て買い増し
こんな人には向いていない
- 短期で確実に利益を出したい人
- 新興国のリスクに耐えられない人
- 日々の値動きで一喜一憂してしまう人
投資は自己責任です。特にアルゼンチンのような国は、「明日どうなるか分からない」というのが現実です。だからこそ、失っても生活に影響しない範囲で投資することが鉄則です。
まとめ:アルゼンチン銘柄は「買い」なのか?
アルゼンチン銘柄は、**条件付きで「買い」**だと私は考えます。
ミレイ政権の改革は確実に成果を上げており、経済指標は劇的に改善しています。中間選挙での勝利も追い風です。資源開発や外資流入の期待も高まっています。
しかし、政治的不確実性や為替リスク、インフレ再燃の可能性など、リスクも決して小さくありません。
結論としては:
- ポートフォリオの一部(5〜10%程度)として投資する価値はある
- 「全ツッパ」は避け、リスク管理を徹底する
- 長期的な視点で、改革の進展を見守る姿勢が重要
個人的には、週末に投資ブログを書きながら「アルゼンチンの改革、どこまで続くかな」とウォッチするのが楽しみになっています。あとは、朝のコーヒーを飲みながら経済ニュースをチェックするのが日課なのですが、アルゼンチン関連のニュースが増えてきて、読むのが面白くなりました。
アルゼンチン銘柄は、「復活ストーリー」に賭ける投資です。うまくいけば大きなリターンが期待できますが、失敗すれば損失も覚悟しなければなりません。だからこそ、冷静な判断と適切なリスク管理が何より大切なのです。
※この記事は情報提供を目的としたものであり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。