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【2025年米株】アップルが、パープレキシティ買収を計画だって?

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2025年6月20日、Bloomberg が衝撃的なニュースを報じました。アップルがAI検索エンジンスタートアップのPerplexity AI(パープレキシティ)の買収について社内で検討しているというのです。この買収が実現すれば、140億ドル(約2兆2000億円)という評価額は、2014年のBeats買収(30億ドル)を大幅に上回る、Apple史上最大の買収案件となります

Appleの時価総額とPerplexity AIの企業価値比較

Appleの時価総額とPerplexity AIの企業価値比較

Appleのこれまでのアプリに対する歩みと姿勢

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先駆者から追従者への転落

Appleは2011年、iPhone 4Sと共にSiriを発表し、音声アシスタント分野の先駆者となりました。当時、自然言語での音声コマンドは革命的な技術であり、AppleはAI分野のリーダーとして認識されていました。しかし、その後の展開は期待を裏切るものでした

2018年、AppleはGoogleからJohn Giannandrea氏をAI責任者として迎え入れ、AI戦略の転換を図りました。同氏はGoogleで検索とAI部門を統括していた人物で、Apple経営陣にとってこの獲得は大きな期待材料でした

Apple Intelligenceの登場と課題

2024年6月のWWDCで、AppleはついにAI戦略の集大成として「Apple Intelligence」を発表しました。この個人向けインテリジェンスシステムは、デバイス上処理とクラウド処理を組み合わせ、プライバシーを重視した独自のアプローチを採用しています

しかし、Apple Intelligenceの展開は期待されたほどスムーズではありませんでした。2024年10月にベータ版が開始されたものの、多くの機能は2025年以降に延期されており、Siriの大幅なアップグレードも「今後1年以内」という曖昧な時期に先送りされています

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AppleのAIはなぜうまくいかないのか?

技術的課題とインフラの問題

Bloomberg の詳細な調査によると、AppleのAI開発には根本的な技術的問題があります。主な課題は、Siriのインフラストラクチャを新旧のコードで分割する必要があったことで、レガシー機能を支える古いコードと新しいAI機能との統合が困難を極めています

文化的・戦略的ミスマッチ

Appleの伝統的な製品開発アプローチは、完璧な製品を秘密裏に開発し、完成後に発表するというものでした。しかし、AI技術は反復的な改善と公開テストが必要であり、この開発文化との間に根本的な齟齬があります

競合他社との格差拡大

実際のユーザー体験においても、Apple IntelligenceはGoogleやOpenAIの競合製品に大きく劣っています。画像編集機能の精度の低さ、メッセージ要約の不正確さ、音声認識の問題など、基本的な機能でも期待を下回る結果となっています

Apple Intelligenceに対するユーザーの反応は厳しく、「生活を簡素化するはずなのに、実際にはそれほど賢くない」という声が多く聞かれます

パープレキシティ買収の実現性

Perplexity AIの急成長

Perplexity AIは2022年8月に設立された比較的新しい企業ですが、その成長は驚異的です。2022年12月のサービス開始時の評価額は5億ドルでしたが、2025年5月には140億ドルまで急上昇しています

Perplexity AIの企業価値推移(2022-2025年)

Perplexity AIの企業価値推移(2022-2025年)

同社は月間クエリ数で7億8000万件を処理し、月次成長率20%以上を記録しています。年間経常収益(ARR)は約1億ドルに近づいており、1500万人以上のアクティブユーザーを抱えています

買収の戦略的合理性

AppleがPerplexityを買収する理由は複数あります。第一に、Googleとの検索契約(年間約200億ドル)が米国の反トラスト法訴訟で脅威にさらされており、独自の検索エンジン構築が急務となっています

第二に、Perplexityの技術はSiriの大幅な改善に直結します。同社のAI検索エンジンは、リアルタイムの情報検索と対話型応答を組み合わせており、Appleが求めているまさに技術です

実現可能性の評価

買収実現の可能性を評価する上で重要な要素がいくつかあります。Apple幹部のAdrian Perica氏(M&A責任者)とEddy Cue氏(サービス担当上級副社長)が検討を主導しており、経営陣の関与は深いものがあります。

ただし、現時点では社内検討の段階に留まっており、Perplexity側との正式な交渉は開始されていません。Perplexity側も「現在または将来のM&Aに関する協議は関知していない」とコメントしています

Appleの主要買収案件と仮想的なPerplexity買収の比較

Appleの主要買収案件と仮想的なPerplexity買収の比較

財務面では、140億ドルという買収額はAppleの時価総額(約3.5兆ドル)の0.4%に過ぎず、同社の財務力からすれば十分実行可能な規模です。ただし、これまでのApple最大の買収案件(Beats:30億ドル)の4.7倍という規模は、同社の買収戦略における大きな方針転換を意味します

実現したら、株価はどうなる?

買収発表時の一般的な株価反応

M&A発表時の株価反応に関する研究によると、買収企業の株価は短期的に下落する傾向があります。これは主に以下の要因によるものです:

  • プレミアム支払いによる懸念:買収対象企業に支払うプレミアムが投資家の懸念材料となる
  • 統合リスク:異なる企業文化や技術の統合に伴うリスク
  • 債務増加への警戒:大型買収による財務状況の悪化懸念

Appleの場合の特殊要因

ただし、Appleの場合はいくつかの特殊要因があります。第一に、同社は潤沢な現金を保有しており(推定1500-2000億ドル)、債務増加の懸念は限定的です

第二に、AI分野でのAppleの遅れは投資家にとって大きな懸念材料となっており、Perplexity買収はこの問題の解決策として好意的に受け取られる可能性があります

長期的な株価への影響

技術系買収に関する研究では、革新性がある買収は発表時と1年後の株価パフォーマンスにプラスの影響を与えることが示されています。ただし、3年後の長期的な効果は限定的とされています

Wedbush証券のアナリストDan Ives氏は、Apple株が2025年に4兆ドルの時価総額に到達すると予測しており、目標株価を300ドルに設定しています。AI関連の買収が実現すれば、この予測の達成が加速される可能性があります

投資家はこのニュースにどう臨むべきか?

短期的な投資戦略

買収発表前のポジション構築
現在は社内検討段階のため、正式発表による株価上昇の可能性があります。ただし、買収企業の株価は発表時に一時的に下落することが多いため、発表直後の押し目買いも選択肢となります

リスク管理の重要性
140億ドルという巨額買収は、Appleにとって前例のない規模です。買収が失敗に終わった場合のダウンサイドリスクも考慮し、ポートフォリオ全体のバランスを保つことが重要です

長期的な投資判断

Apple株の本質的価値
Appleの競争力は従来、ハードウェア、ソフトウェア、サービスの統合されたエコシステムにありました。Perplexity買収は、このエコシステムにAI検索という新たな要素を加える可能性があります

AI時代における必要性
ChatGPTの登場以降、AI技術は急速に消費者向けアプリケーションに浸透しています。Appleがこの波に乗り遅れることは、長期的な競争力の低下を意味する可能性があります

投資家が注目すべきポイント

1. 正式発表のタイミング
社内検討から正式発表までの期間と、その際の買収条件(価格、統合計画など)が重要な判断材料となります。

2. 統合戦略の詳細
単なる技術買収ではなく、AppleがPerplexityの技術をどのようにSafariやSiriに統合するかの具体的な計画が株価に大きな影響を与えます。

3. 競合他社の動向
MetaやMicrosoftなど他の大手テック企業のAI投資動向も、Apple株の相対的な魅力度を左右する要因となります

まとめ:投資家への提言

Perplexity買収は、AppleのAI戦略における重要な転換点となる可能性があります。短期的には株価の変動が予想されますが、長期的にはAppleのAI競争力向上に寄与すると考えられます

投資家は以下の点を念頭に置いて投資判断を行うべきです:

  • 分散投資の徹底:大型買収のリスクを考慮し、Apple株の比重を適切に管理する
  • 長期視点の維持:AI分野での競争力向上は長期的なプロセスであることを理解する
  • 情報収集の継続:買収交渉の進展と統合計画の詳細を注視する

Apple株は依然として魅力的な投資対象ですが、Perplexity買収の成否が今後の株価パフォーマンスに大きな影響を与えることは間違いありません。投資家は慎重かつ戦略的なアプローチを取ることが求められます。

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