こんにちは!米国株投資を始めて8年目になる個人投資家です。毎年5月が近づくと、投資コミュニティでよく話題になる「セルインメイ」という言葉。「5月に売って夏は休め」なんて聞くと、なんだか投資の世界の都市伝説みたいに感じませんか?
実は私も投資を始めた頃、この格言を信じて2018年の5月に保有株を全部売却したことがあります。結果は...夏の間にS&P500が順調に上昇し、秋に買い戻すときには高値掴みになってしまいました。あの時の悔しさは今でも覚えています。
そこで今回は、投資歴8年の経験と最新のデータを使って「セルインメイ」の真実に迫ってみたいと思います。
Contents
セルインメイとは?投資界の有名な格言を解説
「セルインメイ(Sell in May)」とは、正式には「Sell in May and go away」という英語の投資格言で、「5月に売って立ち去れ」という意味です。これは5月から10月までの6ヶ月間は株式市場のパフォーマンスが悪いため、この期間は株式投資を避けるべきだという考え方を表しています。
この格言は別名「ハロウィン効果(Halloween Effect)」とも呼ばれ、11月から翌年4月までの「冬期間」の方が、5月から10月までの「夏期間」よりも株式市場のリターンが高いという現象を指します。

Stock market calendar concept showing May trading strategy
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なぜ「セルインメイ」と言われるようになったのか?
この格言の起源は意外にも古く、17世紀後半のイギリスにまで遡ります。当時の富裕層は夏の間、ロンドンを離れて田舎の別荘で過ごす習慣がありました。株式取引を監視できない期間中は投資リスクを避けるため、5月に株式を売却していたのです。
元々の完全版は「Sell in May and go away, come back on St. Leger's Day」で、セントレジャー・ステークス(9月中旬に開催される競馬レース)の日に戻ってくるという意味でした。
- 機関投資家の夏季休暇:夏期間中は取引量が減少し、市場の流動性が低下する
- 企業業績発表の時期:多くの企業の決算発表が夏期間以外に集中している
- 心理的要因:多くの投資家がこの格言を信じて行動することで、自己実現的予言となる
データで検証!セルインメイは本当に有効なのか?
さて、理論はわかりましたが、実際のデータはどうなっているでしょうか?私がS&P500のETF(SPY)の2020年から2024年までの5年間のデータを詳しく分析してみました。

S&P 500の「セルインメイ」効果検証:5月〜10月と11月〜4月のリターン比較
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5年間の検証結果:驚きの事実が判明
上のグラフを見ると、確かに多くの年で11月〜4月の「冬期間」の方が5月〜10月の「夏期間」よりも高いリターンを示しています。しかし、詳細を見ると興味深い事実が浮かび上がります。

驚くべき結果:5年間で「セルインメイ」が有効だったのは2021年のわずか1年のみ(成功率20%)
特に注目すべきは以下の点です:
- 2020年: 夏期間15.5%、冬期間46.2% → セルインメイ戦略失敗
- 2021年: 夏期間9.8%、冬期間3.7% → セルインメイ戦略成功(唯一!)
- 2022年: 夏期間-6.8%、冬期間-0.5% → セルインメイ戦略失敗
- 2023年: 夏期間0.6%、冬期間53.9% → セルインメイ戦略失敗
- 2024年: 夏期間13.6%、冬期間17.3% → セルインメイ戦略失敗
月別パフォーマンスの詳細分析

S&P 500の月別パフォーマンス:各月の平均リターン推移 (2020-2024)
この月別データから見えてくるのは、一般的な「セルインメイ」の考え方とは異なる現実です。

意外な発見:5月のパフォーマンスは実は良好(平均2.7%)
最も興味深いのは、「売るべき」とされる5月が実際には年間で4番目に良いパフォーマンス(2.7%)を示していることです。一方で、最も悪いパフォーマンスを示すのは9月(-4.3%)と2月(-2.2%)でした。
2025年の最新状況:専門家の見解
2025年の市場動向を見ると、「セルインメイ」戦略への疑問がさらに深まります。
実際、2025年5月のS&P500は約6%上昇し、1990年以来最高の5月パフォーマンスを記録する可能性が指摘されています。「セルインメイ」戦略を実行した投資家は、この大きな上昇を逃すことになりました。
投資アドバイザーの意見
現役の投資アドバイザーたちも「セルインメイ」戦略に懐疑的です:
- フィデリティの研究では、過去20年間で5月〜10月期間の平均年率リターンは3.92%と決して悪くない数字を示している
- 多くの専門家は、現代の技術発達とグローバル化により、季節的な要因の影響が薄れていると指摘
- 税務面でも、頻繁な売買は税効率を悪化させる可能性がある
投資歴8年の私が考える「セルインメイ」への対処法
8年間の投資経験と今回のデータ分析を踏まえ、私なりの結論をお伝えします。
1. 完全な市場タイミングは避ける
冒頭でお話しした2018年の失敗体験のように、完全に市場から撤退するのは機会損失のリスクが高すぎます。バイ・アンド・ホールド戦略の方が長期的には有効だというデータが豊富にあります。
2. セクターローテーション戦略の検討
全部売るのではなく、季節性に応じてセクター配分を調整する方が現実的です。例えば:
- 夏期間:ディフェンシブセクター(生活必需品、ヘルスケア)の比重を高める
- 冬期間:グロース株やシクリカルセクターの比重を高める
3. リスク管理の一環として活用
「セルインメイ」を絶対的なルールではなく、リスク管理の参考情報として活用します。市場が不安定な年や、個人的に休暇を取る予定がある時期などには、ポジションサイズを調整する程度に留めます。
4. データに基づく冷静な判断
感情的な判断ではなく、常にデータを確認することが重要です。今回の分析でも明らかになったように、過去の格言が現在も有効とは限りません。
まとめ:「セルインメイ」の現実を受け入れて賢く投資しよう
今回の徹底分析で明らかになったのは、**「セルインメイ」戦略の成功率は過去5年間でわずか20%**という事実でした。これは投資戦略としては決して高い数字とは言えません。
私自身、投資を始めた頃は様々な格言や噂に振り回されがちでしたが、8年間の経験を通じて学んだのは「データに基づく冷静な判断」の重要性です。特に、頻繁に売買を繰り返した初期の頃よりも、長期投資にシフトしてからの方がパフォーマンスが安定しています。
「セルインメイ」という格言は投資の歴史の一部として興味深いものですが、現代の投資戦略の中核に置くべきものではありません。むしろ、長期的な資産形成の観点から、分散投資とバイ・アンド・ホールドを基本とし、必要に応じてリスク管理の一環として季節性を考慮する程度が現実的でしょう。
最後に、投資は自己責任です。どんなに魅力的に聞こえる戦略でも、必ず自分でデータを確認し、自分の投資スタイルやリスク許容度に合った判断をすることが大切です。皆さんの投資ライフが成功することを願っています!
セルインメイって言ってる人は結構、ベテランな人かもね、、、