米国株に投資する上で、FRB（連邦準備制度）の金融政策を決定するFOMC（連邦公開市場委員会）の動向は、株価を左右する最も重要な要素の一つです。
「次の利上げはいつか？」「利下げに転じる可能性は？」といった市場の関心事を、データに基づいて客観的に把握したいと考えたことはありませんか？
今回は、そんな投資家の強い味方となる無料ツール「CME FedWatchツール」について、その見方から投資への活かし方までを詳しく解説します。
FOMCの市場予測を知るなら「CME FedWatchツール」
CME FedWatchツールは、世界最大級のデリバティブ取引所であるCMEグループが提供しているオンラインツールです。このツールは、金融市場のプロたちが取引する「FF金利先物」の価格データを利用して、市場が将来の金利をどのように予測しているかを確率で示してくれます。
つまり、このツールを見ることで、次のFOMCで「利上げ」「利下げ」「据え置き」のどの決定が下される可能性が高いのかを、客観的なデータで把握することができます。
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FedWatchツールで何がわかるのか？
このツールは非常に多機能ですが、特に注目すべきは以下の3つのポイントです。
1. 各会合での金利変更確率
FedWatchツールのトップページには、次回のFOMC会合で各金利シナリオが起こる確率が円グラフや棒グラフで分かりやすく表示されています。
例えば、以下は2025年7月30日に開催されるFOMCの金利見通しです（2025年6月20日時点）。
このように、市場参加者の大多数が次回の会合では「金利据え置き」を予測していることが一目でわかります。
2. 市場心理の変化を時系列で追える
「Compare」タブでは、現在の確率を「1日前」「1週間前」「1ヶ月前」のデータと比較することができます。重要な経済指標の発表やFRB高官の発言によって、市場の期待がどのように変化したかを追跡できるため、市場センチメントの変動を敏感に察知するのに役立ちます。
3. FOMCメンバーの金利見通し（ドットプロット）
年に4回、FOMCはメンバーが将来の金利水準をどのように予測しているかを示す「ドットプロット」を公表します。FedWatchツールでは、このドットプロットも確認でき、FRB当局者の見通しと、市場の先物価格が織り込む見通し（赤色のドット）を比較することができます。これにより、当局と市場の見方の「ズレ」を把握することが可能です。
情報を投資にどう活かすか？
では、これらの情報をどのように実際の投資に活かせばよいのでしょうか。
市場のコンセンサスを把握する
まず基本として、市場が何をメインシナリオとして考えているかを把握できます。もし自分の相場観が市場のコンセンサスと大きく異なる場合、なぜそう考えるのか根拠を再確認するきっかけになります。
サプライズに備える
市場の予測確率が一方に大きく偏っている（例：90%以上が据え置きを予測）場合、もし反対の結果（この場合は利上げや利下げ）が出れば、市場に大きなサプライズとなり、株価が乱高下する可能性があります。FedWatchツールで確率を確認することで、潜在的なリスクを事前に認識できます。
投資戦略の調整
FRBの金融政策は、景気や企業業績に直接的な影響を与えます。例えば、市場が利下げを織り込み始めている場合、それは景気後退への懸念を反映している可能性があります。こうした市場の期待の変化を捉え、金利に敏感なセクター（金融、不動産など）への投資比率を調整したり、ディフェンシブな銘柄へのシフトを検討したりする際の重要な判断材料となります。
今後のFOMC開催日程
以下は、今後の主なFOMC会合の日程です。これらの日程の前には、FedWatchツールで市場の期待を確認する習慣をつけると良いでしょう。
- 2025年7月30日
- 2025年9月17日
- 2025年10月29日
- 2025年12月10日
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まとめ
CME FedWatchツールは、データに基づいた客観的な視点で金融市場を分析するための強力な武器です。専門家だけでなく、個人投資家でも無料で簡単に利用できます。
日々のニュースや憶測に惑わされることなく、市場が織り込む未来のシナリオを把握し、ご自身の投資戦略をより洗練させるために、ぜひこのツールを活用してみてください。