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【投資2025年】スタグフレーションってなんだ?米国編

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2025年の中盤、米国経済は「スタグレーション(stagflation)」の懸念が高まっています。本記事では、スタグレーションとは何か、どのような要因で発生するのか、そして今なお米国が危ない状態にあるかを最新データを基に解説します。

スタグレーションとは何か?

スタグレーションは、景気停滞(stagnation)と物価上昇(inflation)が同時に起こる現象です。通常、景気後退期には物価が下落するのが常ですが、スタグレーションではこの法則が働かず、高いインフレ率・低い経済成長率・高失業率が併存します

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特徴

  • 持続的な物価上昇(消費者物価指数の上昇)
  • 経済成長の停滞または後退(実質GDPのマイナス成長)
  • 失業率の上昇(労働市場の悪化)

これらを足し合わせた「ミゼリーインデックス」(Inflation + Unemployment)は、経済の苦境を示す指標として知られます。

スタグレーションが起こるときは?

スタグレーションは通常の景気循環とは異なる要因で生じます。主な発生メカニズムは以下の通りです:

  1. コスト・プッシュ型の供給ショック
    原油価格や重要資源価格の急騰によって企業の生産コストが上昇し、価格転嫁と生産縮小が同時に起こる
  2. 政策のジレンマ
    インフレ対策として金利を引き上げると景気後退を加速し、景気刺激策を打つと物価上昇を助長するため、両方を解決できない状況になる
  3. 賃金と物価のスパイラル
    労働者がインフレに合わせて賃金引上げを要求し、企業が価格転嫁することで賃金と物価が互いに押し上げ合う。
  4. 生産性低下
    技術革新停滞や規制強化により供給能力が抑制され、コスト高・生産鈍化が同時に進行する。

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今の米国経済は危ない?

2025年5月までの最新データを見ると、米国には軽度ながらスタグレーションの兆候が見られます。

主要経済指標

指標最新値
インフレ率(CPI、年率)2.4%
実質GDP成長率(Q1、年率換算)-0.3%
失業率4.2%
ミゼリーインデックス6.555(2025年5月)

上記のように、マイナス成長下での2%超のインフレ率失業率4%台という組み合わせは、スタグレーションの典型的な状態と言えます。

米国ミゼリーインデックスは、2024年11月の6.949から2025年3月に6.591まで低下したものの、4月と5月に再上昇し6.555に達しています。
この推移は直近半年で底打ち感が見えたのち再び悪化していることを示唆しています。

米国Misery Indexの2024年11月から2025年5月の推移

米国Misery Indexの2024年11月から2025年5月の推移

米国Misery Indexの2024年11月から2025年5月の推移

リスク要因

  • エネルギー価格の変動:OPECの減産観測や地政学リスクで急騰リスクあり
  • 保護主義的貿易政策:関税引き上げによる輸入物価上昇がインフレ圧力を高める懸念
  • 金融政策の行き詰まり:政策金利は高水準で、さらなる引締め余地が限られる状況
  • 労働市場のミスマッチ:賃金上昇圧力と一部産業の労働力不足が同時進行。

スタグレーション下での投資戦略

スタグレーション期は通常の景気循環期と異なるアプローチが求められます。以下の資産クラスが注目されます:

  • 金・貴金属:インフレヘッジ効果が高く、不確実性に強い
  • エネルギーセクター株:コストプッシュ型インフレ下で価格上昇メリットあり。
  • ディフェンシブ株(生活必需品、医療、公共事業):景気後退でも需要が堅調。
  • インフレ連動債(TIPS):物価連動型利回りで実質価値を維持。

ポートフォリオ例(参考)

資産クラス配分割合理由
ディフェンシブ株30%安定収益確保
金・貴金属20%インフレヘッジ
エネルギー・素材関連20%コストプッシュ型物価上昇に対応
インフレ連動債15%実質価値維持
キャッシュ・短期債15%流動性確保

まとめ
2025年の米国経済は、景気後退とインフレが同時進行するスタグレーションの様相を呈しています。ミゼリーインデックスの再上昇や、政策対応の難しさなどから、引き続き注意が必要です。金・エネルギー・ディフェンシブ株・インフレ連動債の組み合わせによる分散投資で、逆風下でも資産防衛を図りましょう。

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