Contents
- 1 導入:2025年は「ロケット銘柄元年」だった
- 2 2025年:ロケット銘柄が爆騰した3つの理由
- 3 1. 産業の成長性が認識され始めた
- 4 2. 政府の強力なサポート
- 5 3. SpaceX IPO報道による「セクター検証」効果
- 6 2025年のロケット銘柄パフォーマンス一覧
- 7 代表的な銘柄と特性
- 8 2026年のロケット銘柄はどうなる?—3つの見方
- 9 ポジティブケース:スペースXIPO旋風と政府需要の拡大
- 10 リスク・修正ケース:バリュエーション調整と実績不足
- 11 テクニカル懸念:オプション取引の活発化と高ボラティリティ
- 12 ロケット銘柄のボラティリティに備える——投資家はどうすべきか
- 13 1. ポジション規模を制限する
- 14 2. オプションは「売る側」ではなく「買う側」で参入を
- 15 3. 政府契約発表・打ち上げ実績の確認を待つ
- 16 4. 分散投資の活用:UFO ETF という選択肢
- 17 2026年のシナリオ分析
- 18 強気シナリオ(確度40%)
- 19 基本シナリオ(確度45%)
- 20 弱気シナリオ(確度15%)
- 21 まとめ:2026年、ロケット銘柄への向き合い方
導入:2025年は「ロケット銘柄元年」だった
2025年を振り返れば、米国株市場で最も輝いた銘柄グループの一つが、間違いなく「宇宙・ロケット関連株」です。Rocket Lab(RKLB)は+177%、AST SpaceMobile(ASTS)は+250%という驚異的なリターンを記録しました。ほんの数年前までは、こうした企業は投資家にとって「ニッチで高リスク」な存在でしたが、今や市場全体がこの産業に熱い視線を注いでいます。
筆者もこのセクターを注視してきた一人として、「なぜこんなことが起きたのか」「2026年も続くのか」という質問を何度も受けました。その答えは複雑でありながらも、非常に興味深いものです。本記事では、2025年のロケット銘柄旋風を整理し、2026年の見通しを探ります。

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2025年:ロケット銘柄が爆騰した3つの理由
1. 産業の成長性が認識され始めた
宇宙産業の市場規模は2023年の570億ドルから2040年には2兆ドルまで拡大すると予測されています。衛星通信、地球観測、ロケット打ち上げサービスなど、あらゆるサブセクターが急速に成長しています。これまで宇宙産業は「10年先の話」と見なされていましたが、Starlink(スターリンク)の成功やSpaceXの躍進によって、「今、投資する価値がある」という認識がようやく市場に浸透し始めました。
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2. 政府の強力なサポート
米国防総省や宇宙軍が、民間宇宙企業への発注を大幅に増やしています。Rocket Labは2025年末に$816百万の防衛契約を獲得し、これは同社史上最大規模となりました。こうした政府契約は多年度にわたる安定的な売上をもたらすため、投資家の信頼を大きく高めます。
3. SpaceX IPO報道による「セクター検証」効果
2025年12月、Elon Muskが2026年中期から後期のSpaceX IPOを計画していることを公言しました。目標は$30億ドル以上の資金調達、$1.5兆ドルの企業価値という、サウジアラムコの2019年上場($29億ドル)を上回る史上最大級のIPOです。この報道により、市場では「宇宙産業全体に対する再評価」が起こりました。SpaceXが$1.5兆ドルで評価されるなら、Rocket LabやAST SpaceMobileは割安ではないか——こういった思考が、小型宇宙株への買い付けを加速させたのです。
2025年のロケット銘柄パフォーマンス一覧

代表的な銘柄と特性
| 銘柄 | 2025年リターン | 主な事業 | 2026年の主要な材料 |
|---|---|---|---|
| RKLB (Rocket Lab) | +177% | 小型衛星打ち上げ・宇宙システム | Neutron多段ロケットの初打ち上げ、防衛契約の実行 |
| ASTS (AST SpaceMobile) | +250% | 衛星ブロードバンド・コンステレーション | 100基以上の衛星打ち上げ、商用化本格始動 |
| LUNR (Intuitive Machines) | +66.7% | 月面着陸サービス・宇宙インフラ | Nova-M月面着陸機の展開 |
| BKSY (BlackSky) | +92% | 地球観測・衛星画像 | 防衛関連の受注拡大 |
| UFO (Space ETF) | +89% | 宇宙関連企業の分散ポートフォリオ | セクター全体の成長 |
特に注目すべきは、ASTS、RKLB、UNARといった銘柄が年単位で3倍近いリターンを生み出していることです。これは、単なる市場心理ではなく、実際の事業成長と投資家の初期段階での参入による相乗効果です。
2026年のロケット銘柄はどうなる?—3つの見方
ポジティブケース:スペースXIPO旋風と政府需要の拡大
SpaceXのIPOが実現すれば、市場全体が宇宙産業に「確度」を感じるようになります。大型年金基金や機関投資家が初めて宇宙銘柄の購入を検討し始めるでしょう。さらに、Rocket Labの多段ロケット「Neutron」の初打ち上げが成功すれば、同社は商用衛星市場でSpaceXと本格競争に入ります。Defense Department(国防総省)の支出拡大も追い風になるでしょう。
この場合、RKLB は$100以上の目標株価を達成する可能性があり、現在の株価(約$70)からさらに+40%程度の上昇余地があります。
リスク・修正ケース:バリュエーション調整と実績不足
2025年の急騰の多くは「期待」に基づいています。ASTS(年間売上$18.5百万)は$27.4兆ドルの時価総額を持ち、明らかに先行性が高いです。もし重要なマイルストーン(衛星打ち上げ、商用契約発表)が遅延すれば、一気に調整局面に入る可能性があります。実際、American Towerは2025年末にASTSの保有株を49%削減し、大口投資家の離脱が始まっています。
テクニカル懸念:オプション取引の活発化と高ボラティリティ
ここで重要な警告があります。ロケット銘柄はオプション取引が極めて活発です。
- RKLB:12月29日、87,170件のオプション契約が取引され、Open Interestは929,350件に達しています。
- ASTS:Implied Volatility(インプライド・ボラティリティ)が200%を超える水準で推移。
- RKLB の SVS(Schaeffer's Volatility Scorecard)は82/100で、オプション取引参加者の値動き予想を大幅に上回る動きが続いています。
つまり、これらの銘柄は「投機的な買い」と「ショートスクイーズ」によって駆動されている側面が強いということです。12月中旬、RKLB の1月16日満期$40コール・オプションは2週間で+111%のリターンを記録しました。こうした爆発的な動きは、機関投資家ではなく、小売投資家とオプション・トレーダーによる需給変動を反映しています。
ロケット銘柄のボラティリティに備える——投資家はどうすべきか
1. ポジション規模を制限する
ロケット銘柄への投資は、ポートフォリオ全体の5~10%程度に留めることを推奨します。これらの銘柄は市場全体よりもボラティリティが2倍以上高く(Beta 2.0~2.8)、短期的な変動で資産を失う可能性があります。
2. オプションは「売る側」ではなく「買う側」で参入を
オプション・プレミアム(特に短期オプション)は異常に高くなっています。RKLB のImplied Volatilityは過去相場の3倍超の領域にあります。もし取引するなら、高プレミアムを享受するため「コール・スプレッド売却」よりも「コール・スプレッド購入」で利益幅を抑えながら参入する方が、リスク・リワード比が良好です。
3. 政府契約発表・打ち上げ実績の確認を待つ
2026年は複数の重要なイベント(Neutron初飛行、衛星コンステレーション展開、防衛契約の詳細発表)が予定されています。こうした「確度の高い情報」が出てから参入しても遅くはありません。仕手的な値動きに乗ろうとして、高値掴みするリスクは避けるべきです。
4. 分散投資の活用:UFO ETF という選択肢
個別株のボラティリティが怖い場合は、Procure Space ETF(UFO)への投資を検討してください。このETFは、衛星通信、地球観測、ロケット・インフラなど46社の宇宙関連企業を保有し、2025年に+89%のリターンを記録しました。個別銘柄よりもボラティリティが抑えられ(約7%の年間標準偏差)、セクター全体への分散投資が可能です。
2026年のシナリオ分析
強気シナリオ(確度40%)
- SpaceX IPO成功 → 宇宙セクター全体の再評価
- Rocket Lab Neutron初飛行成功 → RKLB $100達成
- ASTS 商用衛星の軌道投入成功 → ASTS $150-200の可能性
- UFO ETF +50%以上
基本シナリオ(確度45%)
- SpaceX IPO実施も2027年へ延期 → 市場心理の一時冷却
- 個別銘柄のマイルストーン実績に基づく選別買い
- RKLB +15~30%、ASTS ±20%の変動幅
- UFO ETF +20~30%
弱気シナリオ(確度15%)
- SpaceX IPO企業価値が市場予想を下回る
- ASTS 重要な衛星打ち上げ遅延 → 最大-50%調整
- 景気悪化による防衛予算削減圧力
- UFO ETF -15~30%の調整
まとめ:2026年、ロケット銘柄への向き合い方
ロケット銘柄は確実に2026年の注目セクターです。SpaceX IPO、Neutron初飛行、政府契約の拡大といった複数の触媒が控えており、中長期的には産業の成長ストーリーが確固としています。
しかし同時に、現在の株価は「完璧な実績」を前提にして付けられていることを忘れてはいけません。2025年の+150%~+250%のようなリターンを期待するのは、あまりに楽観的です。むしろ、2026年を「確度の検証の年」として捉え、以下の方針を推奨します:
- 少額から始める——ポートフォリオの5~10%程度に限定
- 実績を待つ——重要なマイルストーンの成否を確認してから追加投資
- ボラティリティに備える——オプション活動の異常な活発化に対応できる心構え
- セクター分散を活用——UFO ETFで総合的な宇宙経済への投資も検討
宇宙産業の次の10年は確実に大きな成長をもたらすでしょう。ただし、その道のりは平坦ではなく、短期的な値動きは投機的になりやすい。投資家として重要なのは、「確度」と「リスク」のバランスを保ちながら、長期的なポジションを構築することです。
2026年のロケット銘柄は、「乗るなら覚悟を持って」——そう言えるセクターになるでしょう。