米国株

マイクロン(MU)株が一服している理由と、これからのチャンスとリスク

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最近のMU(Micron Technology)って、だいぶ“ブーム銘柄”っぽい雰囲気が出てきましたよね。
AIメモリど真ん中ということで株価はここ1年で何倍にもなりつつ、それでも「まだいけるのか?」と気になっている人も多いはず。

一方で、直近では少し株価が押しているタイミングでもあります。
この記事では、

  • なぜ今、MUの株価がやや下がっているのか
  • それでも中長期の見通しが悪くないと言える理由
  • 投資家としてどう考えるか

を、自分が普段マーケットを追いながら感じていることも少し交えつつ整理してみます。


1. MU株は依然として“絶好調ゾーン”にいる

まず大前提として、足元のMU株はかなり好調な位置にいます。

  • 直近1年で+200%超の上昇(記事によっては+247%という数字も)
  • 2026年入りしてからも+20%超の伸びというレポートもあり、完全に「AIメモリブーム銘柄」の一角

決算面でも、2026年度第1四半期(MicronのFY Q1 2026)は過去最高売上を更新。

  • 売上:136億ドル(前年同期比 +57%)
  • DRAM・NAND・HBM・データセンター向け、全てが過去最高更新

正直、自分もこの決算スライドを見たとき、「これは典型的な“AIサイクルのど真ん中”だな…」と感じました。


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2. MUは「HBMだけの会社」ではない:売上構成を整理する

HBMの話題ばかりが先行しますが、MUのビジネスはHBMだけではありません。
むしろ、現時点では“DRAM全体の強さの中にHBMが乗ってきている”という構図です。

2-1. 製品別:DRAMが約8割、NANDが約2割

FY Q1 2026の製品別売上構成はおおよそこんなイメージです。

製品カテゴリ売上構成比コメント
DRAM約79%サーバー向け・PC・スマホ・自動車など広範囲。HBMもここに含まれる
NAND約20%SSDなどストレージ向け。こちらも過去最高売上
その他数%未満ほぼ誤差レベル

「HBMがすごい」というより、DRAM市場全体がAIサイクルでタイトになっていて、その中にHBMが存在しているという見方の方が実態に近いです。

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2-2. ビジネスユニット別:意外とバランスが良い

同じ四半期のビジネスユニット別売上は次の通り。

ビジネスユニット構成比特徴
Cloud(AI/クラウド向けメモリ)約39%HBM+サーバーDRAMの中心。AIデータセンターど真ん中
Core Data Center(従来型DC)約17%エンタープライズ等、AI以外も含むサーバー向け
Mobile & Client(スマホ・PC)約31%AI PC・高容量スマホでメモリ搭載量増加
Automotive & Embedded(車載・組み込み)約13%ADAS、自動運転、産業用ロボットなど成長分野

Cloud BUが伸びまくっているのはHBMの貢献が大きいですが、モバイル・PC・自動車も二桁成長しており、「HBMがコケたら終わり」という構造ではありません。


3. それでも今、MU株が一服している理由

ここから本題の「なぜ少し下がっているのか?」です。
ざっくり言うと、**“NVDA向けHBM4の期待値が一旦リセットされた局面”**だからです。

3-1. セミアナリシスのレポートで「NVIDIA向けHBM4ゼロ予想」

2月上旬、業界分析で有名なSemianalysisが、
「NVIDIAの次世代HBM4について、Micron向けの発注はゼロになる」
というレポートを出しました。

  • NVIDIA Rubin世代のHBM4は、SK hynix約70%、Samsung約30%を想定
  • Micronは“ベースダイ設計の性能・電力面で見劣りする”とコメント

このレポートをきっかけに、MU株はプレマーケットで上げていた分を消し、短期的に下落方向にふれたという流れです。

3-2. 「NVDA専用HBM銘柄だ」と思って飛びついた資金の巻き戻し

ここ数カ月、MUは

  • 「NVDA向けHBM3E・HBM4で大勝ちする銘柄」
  • 「AIインフラのメモリレイヤーで一番レバレッジが効く」

というストーリーでかなり買われていました。

そこに
「RubinのHBM4はSK+Samsung中心で、Micronは初期採用が遅れそう」
という観測が出たので、“NVDA向けドリーム”に全力で乗っていた短期資金が一旦引いた、という構図です。

自分も、このニュースが出た日には板の薄さと値動きの荒さを見て、「これは短期筋が一気にリスクオフしてるな」と感じました。


4. Rubin向けHBM4:「CSは通っているが、量産タイミングで出遅れ」

ここが一番ややこしいところですが、整理するとこうです:

  • MicronはHBM4のサンプル出荷(ES/CS)はきちんとやっている
    • 2025年中に主要顧客へHBM4サンプル出荷開始
    • 帯域2.8TB/s超・ピン速度11Gbps超のサンプルを出荷と発表
  • Micron自身は「HBM4はQ2 2026に高歩留まりで量産立ち上げ」と説明
    • 「お客様の製品ランプ計画に沿って、HBM4は2026年Q2に高歩留まりでランプする」と決算資料で明言
    • 2026年のHBM供給(HBM4含む)はすでに通年分の価格・数量契約を完了とコメント
  • 一方で、外部アナリストは「NVIDIA向けは初期ウェーブから外れるのでは」と懸念
    • ベースダイ設計の性能・電力・量産性がSK/Samsungに劣り、Rubinの最初の大口は取れないのではないか、という見方

つまり、

技術的なスペックはCS(有償サンプル)レベルでは通っている
ただし、NVIDIA Rubinの「初期大量出荷のタイミング」と完全には噛み合っていない
ので、SK+Samsungに比べて出遅れている

という状態とみるのが妥当です。

Micron側はQ1決算で、

  • 「2026年のHBM供給(HBM4含む)はすでに全量契約済み」
  • 「HBM4はQ2 2026に高歩留まりでランプ」

とかなり自信あるトーンなので、**“量産で完全にコケた”というより“タイミングとシェアの問題”**に近いと個人的には解釈しています。


5. 「HBMだけじゃない」:Micron全体のファンダはむしろ過去最高レベル

HBM4のRubin向けシェアが期待より小さくなりそうなのはマイナス材料ですが、
会社全体で見るとファンダメンタルはむしろ過去最高レベルです。

5-1. DRAM・NANDも含めて「全部売り切れモード」

Q1決算・経営陣コメントから:

  • DRAM売上:108億ドル(前年同期比 +69%)、全体売上の79%
  • NAND売上:27億ドル(前年同期比 +22%)、全体の20%
  • 全ビジネスユニット(Cloud / Core DC / Mobile & Client / Auto & Embedded)が売上・利益ともに過去最高
  • 「2026年のメモリ生産はHBM含めてすでに売り切れ」とコメント

さらに、HBMのTAM(市場規模)についても、

  • 2025年:350億ドル
  • 2028年:1000億ドルに到達とMicron自身が予想

とかなり強気です。
この1000億ドルという数字は、2024年のDRAM市場全体より大きいとまで言っています。

5-2. 「Rubin初期で満点が取れなかった」だけで、ゲームオーバーではない

Semianalysisのようなレポートは“インパクトのある見出し”になりやすく、

「NVIDIA向けHBM4ゼロ」=「HBM完全終了」

のように受け取られがちですが、実際には:

  • 他のGPUベンダーやクラウド事業者向けにもHBM需要はある
  • NVIDIA向けでも、「Rubin初期ウェーブをSK+Samsungが多く取り、後半や後継製品でMicronが食い込む」シナリオは十分あり得る
  • そもそもDRAM全体が逼迫しているので、MicronはHBMにフルコミットしなくても利益が出る構造

という背景があります。


6. アナリストの見方:強気目線は崩れていない

では、プロの目から見たMUの「今後の株価レンジ」はどうなっているのでしょうか。

6-1. コンセンサス:まだ「強い買い」ゾーン

いくつかのレポートをまとめると:

  • アナリストの多くが**レーティングは「Buy〜Strong Buy」**を維持
    • あるレポートでは37〜40名のアナリストのうち大半が「買い」評価
  • コンセンサス目標株価はおおよそ 280〜350ドルレンジ

株価がかなり上がった後にもかかわらず、目標株価自体もこの1年で大きく切り上がっているという指摘もあります。

6-2. 強気派:500ドル近辺までの余地も

より強気なレポートでは、

  • 12ヶ月以内に500ドルを目標とするアナリスト
  • 30〜80%のアップサイドを見込むシナリオ(385〜535ドルレンジ)

なども出ています。
当然これは“楽観シナリオ寄り”ですが、少なくとも

「ここまで上がったから、もう割高でどうにもならない」

というトーンではなく、

「AIサイクルとメモリ供給タイトが続く限りは、まだ成長シナリオに乗れる」

という見方が主流です。

6-3. 目先のリスクを強調する声もある

一方で、今回のような

  • 「NVIDIA向けHBM4シェアは想定以下かもしれない」
  • 「短期的にはHBM4の立ち上がりが競合より遅いかもしれない」

といった懸念を理由に、短期のボラティリティや調整リスクを強調するレポートも出ています。


7. 投資家はどうする?考え方の整理

最後に、「じゃあMUを持っている/これから買う投資家はどう考えるか?」という話です。
ここは人によって答えが変わる部分なので、判断の軸になりそうなポイントだけ整理します。

7-1. 何に賭けているかをはっきりさせる

MUに投資する理由が、

  1. NVIDIA Rubin向けHBM4で大勝ちする」に全力で賭けたいのか
  2. AIサイクルによるメモリ全体(DRAM+HBM)の構造的タイト&価格上昇」に乗りたいのか

で、だいぶ意味合いが変わります。

  • ①に全振りしているイメージであれば、今回のようなニュースはかなりネガティブ
  • ②であれば、「Rubin初期が多少ズレても、2026年はDRAM/HBMともに売り切れモード」という会社側コメントを重視できる

自分はどちらかというと②の視点で決算を追いかけていて、Rubin初期シェアは“スパイス的な上乗せ”という位置づけで見ています。

7-2. 短期の値動きと、中長期のストーリーを分けて考える

  • 短期(数週間〜数カ月):
    • 「NVIDIA向けHBM4ゼロ」といった見出しでアルゴ・短期筋が動く
    • すでに急騰している銘柄なので、ニュース1本で大きく振れるのは当たり前
  • 中長期(1〜3年):
    • 2026年メモリ供給は売り切れ、HBM TAMは2028まで年率40%成長予想
    • 新Fab投資(米国アイダホ、NY、日本・広島、シンガポールHBMパッケージなど)が2027〜30年に効いてくる

この2つを混ぜて考えると、どうしても感情が振り回されがちなので、
「ニュースに対して自分はどの時間軸で反応するのか」を決めておくと楽になります。

7-3. エントリー/ホールド戦略の一例

投資助言ではなく「考え方の例」ですが、例えば:

  • すでにホールドしている場合
    • 決算と需給(売上・マージン・ガイダンス)が崩れていないかを主にチェック
    • HBM4ニュースは“ボラティリティ要因”として割り切り、中核はDRAM/HBM全体のタイトさで見る
  • これから入りたい場合
    • 「Rubin向けHBM4懸念→押し目」が来ていると見るかどうか
    • 1回でフルポジではなく、分割エントリーでボラティリティに慣れながら入る方が精神的には楽だと思います

自分も、こういう“良い決算後のネガティブヘッドライン調整”局面では、
チャートと決算資料を並べて見ながら、「ここはただの短期ノイズなのか、ファンダが本当に崩れたのか」を意識的に分けて見るようにしています。


8. まとめ:HBMは「上積み」、コアは依然として強い

最後にポイントをもう一度整理すると:

  • MU株はここ1年で大きく上昇し、AIメモリブームの主役級
  • 売上の約8割はDRAM、2割はNANDで、HBMだけが柱ではない
  • 足元の株価一服は、
    • 「NVIDIA Rubin向けHBM4シェアが想定ほど大きくないかも」というレポート
    • 過熱した期待の巻き戻し
      による短期的な調整要因が大きい
  • 一方で、
    • 2026年のメモリ供給(HBM含む)はほぼ売り切れ
    • HBM市場は2028年にかけて年率40%成長予想
    • 決算・ガイダンスともに過去最高レベル
      という意味で、中長期ストーリーはむしろ強まっている
  • アナリストも総じて「Buy〜Strong Buy」、目標株価はコンセンサスで280〜350ドル、高いところでは500ドルまで見ている

「HBM4でNVDA向けがどれくらい取れるか」というテーマは、今後もニュースになるでしょう。
ただ、そこだけに振り回されず、

  • メモリ全体のサイクル
  • DRAM/HBMの需給タイトさ
  • Micron自身の決算と投資計画

をセットで追いかけていくと、MUという銘柄の“本当の妙味”が見えやすくなると思います。

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