2025年6月21日、トランプ大統領がイランの核施設3カ所への攻撃を発表したニュースには、正直言って肝を冷やしました。僕も米国株中心のポートフォリオを組んでいるので、「月曜日の市場は大暴落か...?」と覚悟していたんです。
ところが蓋を開けてみると、株価は下がるどころか上昇し、原油価格は大幅に下落するという、多くの投資家の予想を裏切る展開となりました。一体なぜこのような「常識外れ」の市場反応が起こったのでしょうか?
今回は、この予想外の市場動向を徹底分析し、今後の投資戦略について僕なりの見解をまとめてみました。
Contents
- 1 市場の予想を完全に裏切った「逆張り」相場
- 2 みんなが予想していたシナリオ
- 3 実際に起こったこと
- 4 なぜ株価は下がらなかったのか?3つの決定的要因
- 5 1. 電撃的な「停戦合意」が市場を安心させた
- 6 2. イランの「節制された報復」が緊張緩和を演出
- 7 3. 原油価格の意外な安定が投資家心理を支えた
- 8 今後の株価と原油価格はどうなる?
- 9 米国株の見通し:追い風要因が勢揃い
- 10 原油価格:長期的な下落トレンドが継続
- 11 個人投資家はどう動くべきか?実践的な投資戦略
- 12 1. パニック売りは絶対に避ける
- 13 2. 分散投資の重要性を再認識
- 14 3. 「押し目買い」のチャンスを狙う
- 15 4. 原油関連投資は慎重に
- 16 まとめ:冷静な判断力が投資成功の鍵
市場の予想を完全に裏切った「逆張り」相場
スポンサーリンク
みんなが予想していたシナリオ
アメリカがイランの核施設を攻撃したというニュースを受けて、多くの投資家や専門家は以下のような展開を予想していました:
- 株価の急落:地政学リスクの高まりによる投資家心理の悪化
- 原油価格の急騰:ホルムズ海峡封鎖リスクによる供給不安
- 安全資産への資金流入:ドルや金への逃避買い
- VIX指数の急上昇:市場の不安心理を表すボラティリティの拡大
実際に起こったこと
しかし、実際の市場の反応は全く逆でした。以下の表が示すように、株価は堅調に推移し、原油価格は大幅に下落しました。

米国イラン攻撃に対する市場の反応(6月21日-23日)
指標 | 6月21日終値 | 6月23日終値 | 変化率(%) |
---|---|---|---|
ダウ平均 | 43,125 | 43,456 | +0.77 |
S&P 500 | 5,520 | 5,568 | +0.87 |
ナスダック | 17,845 | 18,007 | +0.91 |
VIX指数 | 18.5 | 16.2 | -12.40 |
WTI原油 | 74.2 | 68.5 | -7.70 |
ブレント原油 | 78.1 | 71.5 | -8.50 |
この結果を見ると、株式市場は上昇し、恐怖指数であるVIXは12.4%も下落、原油価格は7-8%も急落しています。
スポンサーリンク
なぜ株価は下がらなかったのか?3つの決定的要因
1. 電撃的な「停戦合意」が市場を安心させた
最大の要因は、攻撃直後に発表されたイスラエルとイランの停戦合意でした。トランプ大統領は6月23日、自身のSNSで「イスラエルとイランが完全かつ全面的な停戦に合意した」と発表しました。
この停戦合意は、カタールの仲介により実現されたもので、段階的な実施が予定されています:
- 第1段階:イランが12時間の停戦を開始
- 第2段階:イスラエルが続く12時間の停戦を実施
- 最終段階:24時間後に「12日間戦争」の正式終了を宣言
2. イランの「節制された報復」が緊張緩和を演出
イランは6月23日、カタールの米軍基地アル・ウデイドに対してミサイル攻撃を実行しましたが、事前にカタール当局に通告していたことが判明しています。この「予告付き攻撃」は、面子を保ちつつも全面戦争を避けたいイランの意図を示すものでした。
トランプ大統領も「イランが事前通知をしてくれたことに感謝する」と述べ、この攻撃を「非常に弱い」と評価しました。
3. 原油価格の意外な安定が投資家心理を支えた
地政学リスクで最も懸念されるのがエネルギー価格の高騰ですが、今回は逆に原油価格が大幅に下落しました。ブレント原油は一時81.40ドルまで上昇したものの、その後71.48ドルまで急落し、上昇分のほとんどを帳消しにしました。
この背景には、以下の要因があります:
- サウジアラビアやUAEの十分な供給余力
- 停戦合意による供給不安の後退
- 世界的な原油在庫の増加傾向
今後の株価と原油価格はどうなる?
米国株の見通し:追い風要因が勢揃い
米国株については、中長期的に楽観的な見方を持っています。Wall Streetの平均的な予想では、S&P 500の年末目標値は6,539ポイントで、現在の水準から約8%の上昇を見込んでいます。
主な上昇要因:
- FRBの利下げ継続:2025年に2回の利下げが予想されており、現在の4.25-4.50%から年末には3.75-4.00%水準まで低下する見込みです
- 企業業績の改善:2025年の米国企業は2桁増益が見込まれています
- 地政学リスクの後退:停戦合意により中東情勢の安定化が期待されます
年 | 利下げ回数 | 予想金利水準(%) |
---|---|---|
2025 | 2 | 3.75-4.0 |
2026 | 1 | 3.5-3.75 |
2027 | 1 | 3.25-3.5 |
原油価格:長期的な下落トレンドが継続
原油価格については、EIA(米エネルギー情報局)の予測が参考になります。同機関は、世界的な在庫増加を背景に、原油価格の長期的な下落を予想しています。

EIA原油価格予測(2025年Q3-2026年Q2)
予測期間 | WTI予測価格($) | ブレント予測価格($) |
---|---|---|
2025年Q3 | 72.0 | 77.7 |
2025年Q4 | 68.5 | 75.7 |
2026年Q1 | 66.0 | 74.0 |
2026年Q2 | 63.5 | 71.5 |
この予測通りであれば、現在の価格水準からさらに10-15%程度の下落が見込まれます。
個人投資家はどう動くべきか?実践的な投資戦略
1. パニック売りは絶対に避ける
今回の件で改めて実感したのは、短期的なニュースに振り回されることの危険性です。僕自身、最初は「売るべきか?」と迷いましたが、冷静になって状況を分析した結果、保有を継続して正解でした。
「地政学リスクは買い」という格言もありますが、慌てて売買するのが最もリスクが高い行動です。
2. 分散投資の重要性を再認識
今回の中東情勢を受けて、地域や業界に偏らない分散投資の重要性を再認識しました。特に以下の分散を心がけています:
- 地域分散:米国だけでなく、先進国・新興国への分散
- 業界分散:特定セクターへの集中を避ける
- 時間分散:一括投資ではなく、定期的な積立投資
3. 「押し目買い」のチャンスを狙う
市場全体が調整する場面があれば、それは優良銘柄を安く仕込むチャンスでもあります。特に注目しているのは:
4. 原油関連投資は慎重に
原油価格の予測は非常に困難で、地政学リスクに左右されやすいアセットです。長期的には下落トレンドが予想されているため、原油ETFや石油関連株への投資は慎重に検討すべきでしょう。
まとめ:冷静な判断力が投資成功の鍵
今回のアメリカによるイラン攻撃とその後の市場反応は、多くの投資家にとって貴重な学びの機会となりました。短期的なニュースに惑わされず、長期的な視点で投資を続けることの重要性を改めて実感しています。
特に印象的だったのは、「悪材料が出尽くし」の状況で、かえって市場が安心感を取り戻したことです。停戦合意という想定外の好材料が加わったことで、株価は逆に上昇するという展開になりました。
これからも地政学リスクは尽きることがないでしょうが、冷静に情報を分析し、感情的な判断を避けることで、長期的な資産形成を続けていきたいと思います。
皆さんも、短期的な市場の動きに一喜一憂せず、自分の投資方針を貫いて資産運用を続けていってくださいね。この記事を読んで、考えを整理するきっかけなどになってもらえれば幸いです