こんにちは!米国株を中心に、インデックス投資と個別株の「いいとこ取り」を目指している個人投資家です。
前回(の記事では)、個別株投資の魅力についてお話ししましたが、多くの人が次にぶつかる壁が「で、結局何銘柄に投資すればいいの?」という問題だと思います。僕も投資を始めた頃は、最適な銘柄数がわからず、夜な夜な色々な投資家のブログを読み漁ったものです。
今回は、この永遠のテーマともいえる「個別株の分散数」について、僕なりの考えと具体的な戦略をまとめてみました。
Contents
結局、何銘柄が「正解」なの? 専門家でも意見はバラバラ
この問いに対して、実は「これが絶対の正解だ」という答えはありません。投資のプロたちの間でも、意見は結構分かれています。
- A. 「10〜16銘柄が現実的」派: 著名なストラテジストである広瀬隆雄氏は、個人投資家がしっかりと管理できるのは10〜16銘柄程度だと述べています。
- B. 「いや、30銘柄以上は必要だ!」派: 人気投資系YouTuberの両学長は、特に高配当株投資では減配リスクを十分に下げるために30銘柄以上、できれば50〜70銘柄への分散を推奨しています。プロが運用するファンドも、多くが50銘柄以上に分散しているのがその根拠です。
- C. 「まずは5銘柄から」派: まずは5銘柄程度から始めることをすすめる専門家もいます。分散しすぎると、値動きが市場平均(インデックス)に近づいてしまい、個別株投資の醍醐味である「大きなリターン」を狙いにくくなるためです。
なぜ、こんなにも意見が分かれるのでしょうか。それは、投資のリスクをどれだけ減らしたいかによって、最適な銘柄数が変わってくるからです。
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グラフで見る分散効果:20銘柄あたりで効果は頭打ちに
一般的に、投資銘柄数を増やすほど、特定の企業の問題(業績悪化や不祥事など)による株価下落の影響を小さくできます。これをリスクの低減効果と言います。
しかし、この効果は無限に続くわけではありません。下の表は、銘柄数とリスク低減効果のイメージです。
銘柄数 | ポートフォリオのリスク(標準偏差) |
---|---|
1銘柄 | 非常に高い |
5銘柄 | 中程度まで低下 |
10銘柄 | さらに低下 |
20銘柄 | 大幅に低下(ほぼ市場全体のリスクのみに) |
30銘柄以上 | 低減効果はごくわずか |
多くの研究で、ポートフォリオのリスクは20銘柄を超えたあたりから低減効果が鈍くなり、市場全体の値動き(S&P500など)とほぼ同じになると言われています。つまり、個別株をたくさん持ちすぎると、結局インデックスファンドに投資しているのとあまり変わらなくなり、管理の手間だけが増えてしまう可能性があるのです。
「儲けたい」と「損したくない」を両立させるポートフォリオ戦略
「リスクは抑えたい。でも、インデックス投資以上のリターンも狙いたい!」というのが、僕たち個人投資家の本音ではないでしょうか。
このワガママな願いを叶えるための戦略として、僕が実践しているのが**「コア・サテライト戦略」**です。
- コア(守りの資産): 資産の大部分(例えば50%〜70%)を、S&P500などに連動するインデックスファンドに投資します。これで、米国市場全体の成長の恩恵を安定的に受けることができます。
- サテライト(攻めの資産): 残りの資産(30%〜50%)で、自分が信じる5〜10銘柄程度の個別株に集中投資します。ここでインデックスを上回るリターン(アルファ)を狙います。
僕自身、以前は個別株100%で勝負していましたが、あるセクターの不祥事でポートフォリオ全体が真っ赤になった苦い経験があります。それ以来、資産の半分以上をS&P500のインデックスファンドという「コア」に置くことで、精神的な安定を得ることができました。サテライト部分の個別株が多少値下がりしても、「まあ、コアがあるから大丈夫」とドッシリ構えられるので、感情的な売買を防ぎ、長期的な視点で投資を続けられています。
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初心者向け!米国株ポートフォリオの組み方
「コア・サテライト戦略」は分かったけど、サテライトの個別株はどう選べばいいの?と迷う方もいるでしょう。米国株は1株単位で買えるので、少額からでも始めやすいのが魅力です。
ポイントは、業種と配当月を分散させることです。
- 業種の分散: テクノロジー、ヘルスケア、生活必需品、金融など、異なるビジネスモデルの企業を組み合わせることで、特定の業界に景気の波が来たときのリスクを和らげることができます。
- 配当月の分散: 米国株は年4回配当の企業が多いのが特徴です。配当月が異なる銘柄を組み合わせれば、毎月チャリンチャリンと配当金が入る「自分だけの年金」のようなポートフォリオを作る楽しみもあります。
【参考】約8万円で作る「毎月配当」サテライトポートフォリオ例
配当月 | 銘柄例 | セクター | 特徴 |
---|---|---|---|
1・4・7・10月 | コカ・コーラ (KO) | 生活必需品 | 景気に左右されにくい安定ディフェンシブ銘柄 |
2・5・8・11月 | ベライゾン (VZ) | 通信 | 高い配当利回りが魅力の通信大手 |
3・6・9・12月 | シェブロン (CVX) | エネルギー | 原油価格に連動し、インフレに強いとされる |
※上記はあくまで分散の考え方を示すための一例であり、特定の銘柄の購入を推奨するものではありません。投資はご自身の判断と責任でお願いします。
投資家として、どう考え、どう動くべきか?
最後に、銘柄数や戦略以上に大切な「投資家としての心構え」についてお話しします。
1. 感情に流されない
市場が急落すると恐怖で売りたくなり、急騰すると「乗り遅れまい」と焦って買いたくなる(FOMO)のが人間です。しかし、こうした感情的な売買は失敗のもとです。損失を過度に恐れたり(損失回避バイアス)、自分の判断を過信したり(過信バイアス)といった、投資家が陥りがちな心理的な罠があることを知っておくだけでも、冷静な判断につながります。
2. 長期的な視点を持つ
僕自身、投資を始めた頃は毎日株価をチェックして一喜一憂していました。でも今は、仕事の傍らWordPressでブログを更新する時間を大切にしたいので、日々の値動きはあえて見ないようにしています。応援したい企業のビジネスの成長を信じて、数年単位でじっくり保有するスタイルに変えたことで、心穏やかに資産形成を続けられるようになりました。
3. 自分で考え、学び続ける
最終的に大切なのは、誰かのおすすめ銘柄を鵜呑みにするのではなく、自分で企業を調べ、納得して投資することです。米国の個人投資家は、豊富な待機資金(キャッシュ)を持っており、株価下落局面で優良株を買い向かう傾向があると言われています。私たちも、常に学び続け、自分なりの投資軸を持つことで、市場のノイズに惑わされずに行動できるようになります。
まとめ
個別株の最適な銘柄数に、万人に当てはまる「正解」はありません。
- リスクを徹底的に抑えたいなら20銘柄以上に分散するのも一つの手です。
- 管理の手間とリスク低減効果のバランスを考えると10〜16銘柄が現実的な落としどころかもしれません。
- もしあなたが初心者で、個別株の大きなリターンも狙いたいなら、「コア・サテライト戦略」を使い、5〜10銘柄から始めてみるのがおすすめです。
まずは資産の半分をS&P500のインデックスファンドに投資し、残りのお金であなたの「推し企業」を5つ選んでみてはいかがでしょうか。そこから、あなたの素晴らしい投資の旅が始まるはずです。