あなたは昨日買った銘柄を、なぜ買ったのか正確に説明できますか? そして先週売った株を、なぜそのタイミングで売ったのか覚えていますか?
投資を始めて数年が経つと、誰もが一度は経験する「なんとなく投資」の罠。私自身も長い間この罠にはまり続けていました。朝のニュースで気になった銘柄をポチッと買って、下がったら「なんで下がるんだ」と嘆き、上がったら「もっと上がるかも」と欲をかく。そんな感情に振り回される投資を続けていたのです。
しかし、トレードの振り返りを習慣化してから、投資成績が劇的に改善したことを実感しています。今回は、なぜ振り返りが投資で最も重要なスキルなのか、データとともに解説していきます。
私の場合は、トレードの記録をつけるツールを自作で作ったり、市販ツールを活用して確認しています。
Contents
- 1 衝撃の事実:記録をつける投資家はわずか15%
- 2 なぜほとんどの人は記録をつけないのか?
- 3 トレード振り返りがもたらす5つの驚くべき効果
- 4 1. 同じ失敗の回避(32%)
- 5 2. 勝ちパターンの発見(28%)
- 6 3. 感情コントロールの向上(22%)
- 7 4. 投資手法の確立(12%)
- 8 5. リスク管理の改善(6%)
- 9 成功投資家の7割は「毎取引後」または「毎日」振り返る
- 10 プロトレーダーは全取引を録画して分析する
- 11 実践的な振り返り方法:5項目だけでOK
- 12 最小限の記録項目
- 13 チャートのスクリーンショットも保存しよう
- 14 自分なりの「投資の軸」を作る重要性
- 15 投資の軸とは?
- 16 私の失敗例:軸がなかった時代
- 17 振り返りがもたらす「気づき」の瞬間
- 18 実例1:曜日効果の発見
- 19 実例2:ニュースに振り回される傾向
- 20 実例3:利益確定のタイミング
- 21 投資家はどうすればいい?具体的な行動プラン
- 22 ステップ1:今日から記録を開始する
- 23 ステップ2:週末に振り返り時間を作る
- 24 ステップ3:月次で統計を取る
- 25 ステップ4:3ヶ月で軸を見直す
- 26 振り返りは「未来への投資」
衝撃の事実:記録をつける投資家はわずか15%
まず驚くべきデータをご覧ください。

トレード記録をつける習慣と投資成果の相関関係を示すチャート
**記録を毎日つける投資家の年間リターンは12.8%**である一方、記録をつけない投資家のリターンはわずか2.4%にとどまります。しかし、実際に毎日記録をつけている投資家は全体のわずか15%しかいません。
これは何を意味するのでしょうか?9割の投資家が記録をつけずに投資しているのに対し、成功している投資家の大多数は詳細な記録をつけているのです。
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なぜほとんどの人は記録をつけないのか?
理由は明確です。負けた記録をつけるのが苦痛だからです。私も以前は損切りせずに「塩漬け」にして、記憶から消去していました。これでは同じ失敗を何度も繰り返すのは当然です。
実際、個人投資家の約9割が株式投資で損失を経験していますが、その多くが記録をつけずに感覚だけで投資を続けているのが現実です。
トレード振り返りがもたらす5つの驚くべき効果

トレードの振り返りがもたらす5つの主な効果の割合
トレードの振り返りは、具体的にどのような効果をもたらすのでしょうか?
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1. 同じ失敗の回避(32%)
最も大きな効果は、過去と同じ失敗パターンを避けられることです。人間の記憶は曖昧で、特に感情が動く場面では内容が歪んでしまいます。記録があることで「あ、この状況は以前失敗したパターンと似ている」と気づけるのです。
私の場合は、損切りした時に財務情報を見直します。そうすると、こういう財務情報の会社はうまく行かないケースがあるのか?と発見できたりもします。後で見ると結構当たり前のことも買気が盛んな時には、重要な情報を見逃すこともあるのです。
2. 勝ちパターンの発見(28%)
成功したトレードを詳細に分析することで、再現可能な勝ちパターンを発見できます。私の場合、「21時〜23時の時間帯で、トレンド相場の押し目買い」が最も得意なパターンだということが記録から判明しました。
3. 感情コントロールの向上(22%)
記録をつけることで感情を外部化し、冷静な判断ができるようになります。「今、恐怖で売りたくなっているが、ルール通りなら保持すべき」といった客観的な判断が可能になります。
4. 投資手法の確立(12%)
長期間の記録から、自分だけの投資手法が見えてきます。どの市場環境で、どの戦略が有効なのかが統計的に把握できるのです。
5. リスク管理の改善(6%)
過去の損失パターンを分析することで、適切なリスク管理手法を確立できます。
成功投資家の7割は「毎取引後」または「毎日」振り返る
成功投資家(年間10%以上のリターン)の振り返り頻度分布
年間リターン10%以上の成功投資家の振り返り頻度を調べると、実に73%が毎取引後または毎日振り返りを行っています。
一方、失敗する投資家は「時間があるときに」「気が向いたら」というスタンスです。継続的な振り返りこそが、成功と失敗を分ける最大の要因なのです。
プロトレーダーは全取引を録画して分析する
ある実例では、プロトレーダーがすべてのトレードを録画し、毎回見直しているという話があります。これほど徹底した振り返りが、プロレベルの安定性を生んでいるのです。
実践的な振り返り方法:5項目だけでOK
「振り返りが重要なのはわかったけど、何を記録すればいいの?」という声をよく聞きます。実は、5つの項目だけで十分効果があります。
最小限の記録項目
- エントリー理由:なぜその銘柄を選んだのか
- 決済理由:なぜそのタイミングで売買したのか
- その時の感情:冷静だったか、焦っていたか
- 結果:利益・損失の金額
- 次への教訓:何を学んだか
スマートフォンのメモアプリで十分です。重要なのは、完璧を目指さず継続することです。
チャートのスクリーンショットも保存しよう
エントリーポイントのチャート画面を保存しておくと、後から「なぜあの時買ったのか」を視覚的に思い出せます。これが意外に効果的で、同じような場面での判断精度が上がります。
自分なりの「投資の軸」を作る重要性
振り返りの最終目標は、自分なりの投資の軸を確立することです。
投資の軸とは?
- どういう市況で買うのか
- どの程度の下落で損切りするのか
- どのタイミングで利益確定するのか
- 1回のトレードでどの程度のリスクを取るのか
これらが明確になると、軸からのズレを意識しながら投資できるようになります。「今回は感情的になって軸から外れた判断をしそうだ」と客観視できるのです。
私の失敗例:軸がなかった時代
投資を始めた頃の私は、完全に「なんとなく投資家」でした。上がりそうな株を買って、下がったら塩漬けにする。これでは軸も何もありません。
しかし振り返りを習慣化してから、「長期成長株を割安時に買い、企業価値に対して適正価格になったら売る」という軸が確立されました。この軸があることで、短期的な値動きに惑わされることが激減しました。
振り返りがもたらす「気づき」の瞬間
振り返りを続けていると、思ってもみない気づきに遭遇します。
実例1:曜日効果の発見
私の記録を分析すると、金曜日に買った銘柄の成績が悪いことがわかりました。週末を挟むことへの不安から、慌てて月曜日に損切りしていたのです。この発見以降、金曜日のエントリーは控えるようにしています。
実例2:ニュースに振り回される傾向
「○○関連株が注目」といったニュースを見て買った銘柄は、ほぼ例外なく失敗していることが判明しました。メディアの情報に流される自分の弱点を客観的に把握できたのです。
実例3:利益確定のタイミング
含み益が出ると、すぐに利益確定したくなる性格だということも記録から判明しました。「まだ上がるかも」という欲望よりも「下がったらどうしよう」という恐怖が強いことがわかり、利益確定ルールを明確にしました。
投資家はどうすればいい?具体的な行動プラン
ステップ1:今日から記録を開始する
まずは今日から5項目だけの簡単な記録を始めましょう。完璧を求めず、継続することが最重要です。
ステップ2:週末に振り返り時間を作る
毎週末に30分だけ、1週間の取引を振り返る時間を作ります。パターンを見つけたり、改善点を洗い出したりします。
ステップ3:月次で統計を取る
月末には勝率、平均利益、平均損失などの統計を取りましょう。数字で客観的に自分の投資を評価できます。
ステップ4:3ヶ月で軸を見直す
3ヶ月間のデータがたまったら、自分の投資の軸を見直します。得意なパターンや苦手な場面が見えてくるはずです。
振り返りは「未来への投資」
トレードの振り返りは面倒に感じるかもしれませんが、実は最もリターンの高い投資です。30分の振り返りが、将来の大きな損失を防ぎ、利益機会を増やしてくれます。
「振り返った分だけ、未来の投資はうまくなる」—— これは私の投資歴8年間で得た最も重要な教訓です。
記録をつけない9割の投資家が苦戦している一方で、継続的に振り返りを行う少数の投資家が安定した成果を上げているという現実があります。あなたはどちら側の投資家になりたいでしょうか?
今日の取引から、ぜひ振り返りの習慣を始めてみてください。3ヶ月後には、必ず投資成績の改善を実感できるはずです。
投資は相場との戦いではありません。自分の感情や思考パターンとの戦いです。 そしてその戦いに勝つための最強の武器が、継続的な振り返りなのです。