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読書の感想:垣根涼介著"ワルド・ソウル”-魂の震える物語

投稿日:2017年7月18日 更新日:

ワイルド・ソウル〈上〉 (新潮文庫)ワイルド・ソウル〈下〉 (新潮文庫)

#おお、上下の表紙が連動している・・・。

絵を貼り付けて、思った。血は受け継がれる。。

甘い言葉に騙されるなんてことは、よくある話です。でも、それは立場によって様々な様相を描きます。例えば、お金持ちのおじさんが、若い水商売の女に騙された場合、誰が悪いと思うのでしょう。でも、例えば、政府が、国民に対して約束を反故にした場合、やはり、だれもが政府が悪いと思うでしょう。

そう、これは、日本国政府に対する思いを受け継いだ、日系人たちの熱き想いの物語。誰が悪いかなんて迷うことのない、誰もがなんてひどいことをするんだと、と感じるはずです。そんな怒りのやり場をどこかに求めないと、すべてのわだかまりを捨てて、”土くれ”に還ることのできない人々の話です。

では、感想です。

 

本の感想

最初から、面白いです。とても。日本人が海外に出て、土地を開拓し、そこに生活の場を築きあげるということを目標にした人々の生き様そのものから始ます。と、このように書くと希望に満ち溢れたいきいきする様を思い浮かべますが、とんでもありません。地を這って土を食らうくらいの悲惨さです。これが、この物語の原点となります。そんな中でも生き残った男たちの自分たちの尊厳を取り戻す戦いが描かれています。彼らの魂の叫びが伝わってくる作品だと思います。それは、後半の主人公が、荒れた土地で一人で生きたように、とても本能的で、本質的な物語です。

物語は、複数の人の視点から描かれているんですが、その人物を切り替える場面がとてもなめらかで、シームレスな連携がなされてる印象を受けます。この、それぞれの登場人物の視点のそれぞれ感じ方や考え方がこの物語に厚みを持たせ、より深い味わいを織りなしているのだと思います。

また、様々な内容に関しても細かく描写されていて、時代背景や、土地の状態など、事細かく説明なされています。。ただ、車の描写はちょっと、緻密すぎてついていけんと思いましたが。。そういう、描写の多さもやはり、物語を深く楽しめる要因になってるんだと思います。

物語は、大きく2つの構成になっていっていて、前半は、辛く厳しい開拓の生活を中心に泥臭さと、無力感に包まれた救われない物語、後半は、前半では、出てくることも想像できないTV局とかも出てくる、結構新しい雰囲気のする物語になっています。話が進むにつれて時が経ち、その時代の中心も変わっていく様が物語と絡められており、全編飽きることなく一気に読める構成になっています。

 

 

軽く楽しむ本ではないかもしれませんが、がっつり楽しんじゃってください、そして、いろんなことを考え、自分たちの本能と向き合ってもらえるといいと思います。

 

posted by j138

 

 

 

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